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複雑・ファジー小説
- 第一章『少年邂逅』 ( No.3 )
- 日時: 2014/03/29 17:14
- 名前: シイナ (ID: TzDM8OLf)
【2】
「・・・返事がない。ただの屍のようだ」
何処かで聞いたことのあるような台詞を吐き、黒磨の頬を叩く影があった。数秒前、黒磨とぶつかった少年である。
8月中旬であるというのに、少年は長袖のフード付きパーカーを着用していた。身長はそこまで高くないようである。せいぜい、150cmほどだろう。
「困った。僕は自転車だから彼を運べないとか。でもほおっておくのもダメだよね」
うーん、と彼は唸る。しかしその声は感情がこもっておらず、どうも困っているようには聞こえない。
やがて少年は「あ」と言って顔をあげた。その勢いでかぶっていたパーカーがとれて、銀色に輝く其れが顕になる。
「あの人を呼べばいいのか。それで、車ではこんでもらうとか」
太陽に反射して輝く銀色の髪と、同じく銀色の瞳。色素が感じられない真っ白な肌はまるで病人のそれだった。
白。無色な、白色。彼にこれほどピッタリ当てはまる言葉は、他に無いだろう。
ポケットから彼は無造作に携帯を取り出す。それさえも白色で、唯一色彩がある服が逆に不気味に見えてしまう。
「あ、もしもし、僕だけど」
「今、大丈夫? 車出してほしかったりとか」
「は? いやいや、そうじゃないんだ」
「ちょっと事故って。怪我人運んでもらおうと思ってさ」
「え? あ、ちょっと、ばしょ、」
「・・・切れちゃったりとか」
これは偶然起こったことに過ぎない。
しかしこの出会いは。
起こるべくして起こった、必然である。
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