複雑・ファジー小説
- Re: 太陽の下に隠れた傍観者【罪と輪廻シリーズ第三弾 連載開始!】 ( No.14 )
- 日時: 2014/07/02 21:50
- 名前: 紗倉 悠里 ◆ExGQrDul2E (ID: I.inwBVK)
あぁ、また変なことを思い出してしまった。
ま、そんなことは置いておこう。とりあえずは、目の前の二人のことだ。
これだけ笑われると、腹が立つのは、きっと僕だけではないだろう。怒らなくとも、不快には思うはず。
「なんだ。人を笑うとはいい度胸だな」
そういって脅してみる。
だけど、逆効果らしい。またまた二人は爆笑。なんか、流石に嫌だぞ、これは。ボクを笑うなんて、さっきの大男よりもたちが悪い。
「ははははっ、お前さ、すごくね? 名前知らない人に、そんな言葉遣いするか!?」
真人じゃない方のやつが、そう言って笑った。
は? いや、知ってようが知らまいが関係ないだろうが。全人類平等に、ボクに偉そうにするやつは許さない。ボクに逆らうのは許さない。
しかし、例外は除く。“傍観者”と、“規律”、“無秩序”だけは例外だ。
——彼らは、ボクよりも強い存在だから。
「うるさいな。さっさと名前をいえ」
ボクは、もう一度険しい顔で聞いてみた。これで言わなかったら、後ろにいる時雨の静止も聞かずに、こいつらを黄泉の国に送ることになろう。
「ははははっ!! 俺は、白野 夜人だ。白いの白に、野原の野、白夜の夜、人間の人 な」
真人じゃない方のやつが、丁寧に説明してくれた。
——しろの よると。うん、悪くない名前だ。
ボクは、そんな感じの名前は、好きだったりするのだ。なによりも、夜人の名前は、少しロマンチックな気がするのは、彼の名前から雪の降る夜を連想してしまったのは、ボクだけなのだろうか。そして、白野という名前である男を思い出してしまったのは……。
「俺は赤崎 真人だ。よろしくな。それで……お前は?」
もう一人は、めんどくさそうに自己紹介をした。なんと適当。夜人とのこの違い、笑ってしまう。
でも、一番後ろに「人」がつく者同士、仲がよさそうだ。性格が違っても仲良くできるのは、いいことだ。多分。(別に、皮肉なんかじゃないぞ、笑われて怒っているとかじゃないぞっ!!)
「ボクか? なんで、ボクの名前を知る必要があるのかい?」
ぷっ、くく……。笑う声が聞こえた。それは、段々大きくなっていく。
そして、爆笑。
なんで笑われたのだろうか。ボクは、思ったことを言ったまでなのに。
だって、そうだろう? ボクの名前を知っても、こいつらは何に利用するのか。それがはっきりしない。だから、ボクが教える必要性は0だ。
「いや、お前が聞いてきたんだから、お前も教えろよっ、はははははははっ、笑いとまんねぇっ、ははっ」
夜人は、目尻を指でぬぐいながら笑っていた。涙がでるまでなんて、どんなに笑ってんだよ。まるで、ネットでよく使用される「w」が、彼の周りに浮かんでいそうだ。
さて、それはいいとして。ボクの名前か……。これは困ったぞ。
「ボクは……“狂った子供”だ」
少し躊躇したが、仕方なくそう答えた。
さっき、この名前は嫌いだと言ったが、これしか言えない。何故なら、ずーっと隠し通してきた名前を、こんなところでバラすにはいかないからね。あの事件を起こしてから、ずっと隠しているのだから。一文字たりとも、周辺に漏らさずに。……といっても、あの事件を知っている人間なんて、もう殆ど居ないんだろうけどね。だから、この件については、殆どボクの小さなプライドってところかな。
「え? もしかして、お前厨二病だったりするわけっ!?」
そんな、ボクの複雑な心情も知らずに、私に同情の表情を向ける奴は、勿論夜人である。
は・ら・た・つーっっ!!!!
なんなんだよ、こいつは! こっちのことも知らずに。そりゃ、聞いていないんだから知らないのは当たり前なんだけど。いや、聞いても教えないけども。
それと……、厨二病ってなんだ。今度、調べてみようか。“傍観者”に頼んで。