複雑・ファジー小説
- Re: 太陽の下に隠れた傍観者【罪と輪廻シリーズ第三弾 連載開始!】 ( No.8 )
- 日時: 2013/12/07 21:22
- 名前: 凰 ◆ExGQrDul2E (ID: CymMgkXO)
二人で会場に入ると、たくさんの人がいた。いや、入学式だから当たり前なんだけどね。
ボクは、ずーっと、生きている人が殆ど居ない世界で生きていたから、こんなに人が居るところは行ったことがなかった。なんかとっても、新鮮。
時雨の手を引きながら、会場を進んで行く。すると、何処かで見たことがあるような少年二人を見つけた。
一人は、オドオドしながら歩いていく。彼のポケットからはちらっとチョコレートの包み紙が見えた。
黒い、綺麗に整えられた彼の髪は、つい触りたくなってしまう。背も高い方だし、きちんと制服を着ているから、頭は良いんだろうね。
もう一人は、だらしなく制服を着崩している。髪は、染めてない黒色だけど、ボサボサ。ボクの印象からすると、普通の不良ってところかなぁ。
この二人とは面識がある気がして、話しかけようとしたら、時雨に「今は忙しいので、後にしましょうよ?」と言われてしまった。抵抗したいとも思ったけど、事実、忙しかったから、従うことにした。それに、彼等も忙しそうだったから。
そして、二人から離れた時だった。
「あ、あいつ見てみろよ! 髪が青いぞっ」
後ろから声がした。その後、何人かの男の笑い声。
イラッ!
ボクは、軽くキレながら、後ろを向いた。
「なんだい、ボクにそんなこと言うなんて、無礼だろう」
いつもの口調で後ろを向いてみたら、ボクよりも大きい男達が四人ほど立っていた。リーダーらしい男は、ゴリラみたいな顔をしている。
(うぇっ、気持ち悪。 こんな奴と話さなきゃならないのか……最悪ぅ。 神様を呪ってやろうかな)
心の中で悪態をつく。
この時のボクは、この男もさっきの時雨と同じようにすぐに引き下がるものと思っていた。
だけど、なんか現実ってのは甘くなかったみたい。
「あぁ?」
男の目つきが変わる。こいつ、無礼にも、ボクの方を、キッと睨みつけてきた。ボクよりもずーっと位は低いはずなのに。
(あれ? もしかして、臨戦体勢に変わっちゃった?)
そう思いながら、男の取り巻きをみてみると、取り巻きは、安全な所まで逃げて行ってしまった。
ボクは、確信した。
今から、喧嘩が始まる、ってね。
すると、なんだか、ワクワクしてきた。それに、ドキドキしてくる。
これ、全身の血が騒ぐってヤツなのかな?
ま、そんなの、どうでもいいや。
それより、ボクに喧嘩をしかけてきたその度胸だけは褒めてあげる。
だけどね、君は。
——ボクには勝てない。ぜぇーったいに、ね!
だって、ボクは『最狂』なんだから。