複雑・ファジー小説

Re: 太陽の下に隠れた傍観者【黒の少年は蒼い少女の何を見る】 ( No.80 )
日時: 2014/03/25 18:37
名前: 紗倉 悠里 ◆ExGQrDul2E (ID: v2BiiJyf)

 えーっと、こんにちは!! 皆様、本編の途中ですが、始まります!!
〜【参照1000越!&コメントをくださった方10名越記念!! 番外編SS】〜
     視点:私
 
 三月。一月は行く、二月は逃げる、三月は去る、と言うが、私の三月は簡単に過ぎそうにはない。
 
 友達と別れて、家への帰り道。一人とぼとぼ歩いていた時のことだ。
——「静かにしろ。さもないと撃つぞ」——後ろからいきなりの女の声と共に、口に押し付けられたハンカチ。僅かな花の香りと……薬剤の臭いに支配されて、いきなり私の日常は幕を閉じた。あぁ、私は最期に頭に銃を押し付けられるのか。それにしても、ここには銃刀法があった気がするのだが……うーん。


「おい、起きろ。クズが」

 自由に動かない身体。よくよく見れば、縄で縛られているではないか。なんということだ、拘束だなんて物騒な。
 それに加えて、この暴言。どれだけ私の心が寛大だろうと、限界はあるのだ。一体、どんな無礼者が私にこんな言葉を浴びせるのだ——そう思って、目を開けるとびっくり仰天。そこには、青いツインテールを肩まで伸ばした可愛らしい少女が私を見下ろしているではないか。女子の制服を着ている彼女、このアングルからだと彼女のスカートの中が……と思ったのだが、床に張り付けにされている私は身体はおろか、首さえ動くことも許されず、それは断念することとなった。
 それはそうと、さっきまで私に暴言を吐いた奴は一体どこに行ったのだろう。こんな可愛らしい少女を残してどこかにいくとは、いろんな意味で物騒な奴である。

「おい、クズ。お前、さくら ゆうり……だな?」

 またまた聞こえる声。おいおい、私はクズじゃないよ、紗倉 悠里だよ。
 そう思いながら、今度こそ声の主を見つけようとする。が、首が動かないから、やはり俺を見下す少女しか見えない。
 まさか、この少女が……いや、そんなことはあり得ない。なんたって、こんなに可愛いのだから。
 まぁ、とりあえず、人物確認をされたらしいから、はい、と返事をしようとした。しかし、口に貼られているガムテープ。まさかの、声を出すことさえも許されないらしい。なんと過剰な拘束だ。
 声が出せないなら、首肯しかない。だが、首は動かせない。どうやって、肯定すればいいのか。

「おい、聞いてんのか!!」

 と、その時。少女がいきなりしゃがみこんだかと思うと、私のこめかみ辺りに銃を押し付けてきた。え、いや、薄々感じてたけど、やっぱりあなたですか、あの声は。こ、怖い……。
 いや、聞いてるも聞かないも、頭が動かせないんですよ、少女様。なんで首に変なギプスみたいなの付けてるんですか、おかしいでしょ。私の首は怪我してませんからね!?
 喉の奥から、うーうーと呻き声を出して肯定してみるけど、ただの曇った音にしか聞こえないだろう。

「ま、ぜったい紗倉 悠里だよな。この前手に入れた写真と顔が全く一緒だ」

 いやいや、何堂々盗撮宣言してるんですか! 犯罪ですよ、少女様。まぁ、口に出しては言えないけど。物理的に。

「さてさて、今からこっちの愚痴を言わせてもらおうかなぁ? 毎回毎回、“狂った子供チルドレン”、“狂った子供チルドレン”と。まじでうざってぇんだよね、あれ。さっさと本名だせよっ!!」

 うーん、抵抗したいのにできない辛さ、とはまさにこのことか。
 ていうか、まさか彼女がかの有名な殺人鬼“狂った子供チルドレン”だったとは。驚いて声が出ないよ。出せないけど。
 本名って……キミはそれを知らない設定なんだよ、一応。だから、もう解放してよ……せめて、口だけでも。

「もう本当いい加減にしないと、撃つよ? 殺すよ?」

 そんな声が聞こえる。あー、怖いよ、“狂った子供チルドレン”。それと、銃をゴリゴリするのやめて、痛いし怖いから。……言えないけど。

「あーもー、喋れよ!!」

 喋れねぇよ。
 そんな時だった。ガチャ、と音がした。多分、ドアが開いて誰かが入ってきたのだろう。

「あれ、なにしてるんですか?」「お、なにしてるんだ、お前。そいつ、誰だ?」

 救世主かと思いきや、まさかの二人。この口調は……言わなくても分かるだろうが、スーツメガネこと高川時雨と、ムッツリ白衣こと白野 歩だ。

「おう。こいつらはな、ボクらの憎き敵の紗倉 悠里だよ」

 私が強制的に黙秘されているのに、“狂った子供チルドレン”はいとも気軽にそう答えた。
 それを聞いて、二人はつかつかと私を見下ろしながら歩いてくる。あぁ、もう近寄らないで……怖い、怖いから!

「へぇ……この人が」「まさか、こんな女がか」

 思い思いの言葉を呟きながら、私を見下ろす二人。“狂った子供チルドレン”は、二人がきてからはにっこりと可愛らしくて子供らしい笑みを浮かべていた。この笑みは、あれだ——「ボク頑張ったでしょ? 偉い? 褒めて褒めてー」——。
 イケメン二人と、可愛い少女が私の周りをぐるりと囲んだ。うーん、これで私がマゾヒストだったらどれだけ幸福だったことか。
 しかし、これは現実。小説の世界とは違って、甘いはずがない。

——————。

————。

——。

 その後。
 拘束を外していきなり放り出され、暗い路地裏に一人残された私。
 先ほどまで、見るに耐えない暴行を受けて、そのなのとおり「ボッコボコ」にされた私は、「警察沙汰にしたらブチ殺すぞ」という脅迫を受けて、今ここにいるのであった。

 あぁ、神様、私は一体、どんな悪いことをしたのでしょうか。確か、参照が1000を越えて、喜んでいた一日前。あの時、“狂った子供チルドレン”や“傍観者ノーサイド”達にはとても親近感と愛を感じたのに——私は、なにも悪くないはずなのに。敢えて言うなら、シナリオが悪かったのだ。この世界が、この世界を創設した者が。
 そんなことを考えながら、路地裏を抜けて自宅へと向かう。
 と、その横をサッと通り過ぎる者がいた。黒いパーカーに身を包む男。
 ——あれ、何処かでみたことがあるような……。——




 しかし、私が彼の正体を思い出すことはない。なんたって、彼に関する記憶データは全て消去されてしまったのだから。

 
 BAD END

コメディ展開と思った方、申し訳ありません!! バカ作者によってシリアス&本編につながってる!? になってしまいました! いやあ、本当申し訳ない……。

「はぁ、すっきりした」
「いやぁ、久しぶりに暴力なんて振りましたよ……」
「おい、“狂った子供チルドレン”。これは法に触れてないだろうな?」
「え、や、それは……あはは」

「「えぇ!? おい、“狂った子供チルドレン”!!」」

 
「うわぁ……緊張した。いきなりパーカーで横突っ走ってこいとか……パシリにも程がありますよぉっ」
「黙れ、お前は俺のパシリだろうが。一々緊張とかしてんじゃねーよ」


最後に。
皆様、本当にありがとうございます!!
これからも私やキャラクター達を、ぜひよろしくお願いします。心から、お願いします。(真顔&涙)