複雑・ファジー小説
- Re: 黒蝶の鱗粉 ( No.11 )
- 日時: 2013/12/13 00:23
- 名前: 桜 ◆N64vfsjfrs (ID: I/L1aYdT)
***___私の新しい、友達___***
私は今教室に居る。朝早く、教室には一人も生徒が居ず、深閑とした教室に私の足音が小さく鳴る。
花壇に花を活け、机の位置を揃え、黒板を掃除する。静かな教室に黒板消しクリーナーの騒々しい音が響く。
そろそろ生徒達が来る頃か、外では元気な声が聞こえていた。
もう一人の日直はサボり、今更だけど
___私って、独りなんだな___
「……そんなことないと思いますけど」
「ぇ……?」
小さく呟いた言葉、クリーナーの騒音で容易に掻き消されるような声を誰かが聞き取ってくれた。
私はクリーナーの電源を切り、その声の主の方へ、つまりは後ろへ振り向いた。
「ぁ……。貴女はさっきの……」
私の後ろに居たのは、私の声を聞いて応えてくれたのは
さっき職員室まで連れていってあげた女の子だった。
「……貴女は独りじゃないと思いますよ……」
女の子は続けてそう言う。何も知らないからそう言えるんだ、実際私はあまり友達が居ない。
「そんなことないですよ……」
私はうつ向き気味に言った。
少女はうつ向き気味に言った。どうしてそんなに寂しそうにするの?
「貴女には……信頼出来る人が居ますか?」
「ぇ……? はい……」
何だ、居るのか……なら独りじゃないじゃない。
「なら、独りじゃないですよ……」
「だけど……?」
僕は少女が次の言葉を紡ぐ前に彼女に手を差し伸べた。
「僕が……友達になって差し上げます……」
本当の意味で人間と友達になろうなんて、僕には出来るわけないけれど。
「…………」
僕がそう言った途端、目の前の少女は目を輝かせた。
「ぅ……嬉しい、です……!」
そう言い、彼女は精一杯笑った。
本当に人間は面白い。さっきまで暗い顔をしていたのに。
たった一言でこんなに表情を変えるなんて。
目の前に居る今日初めて出会った子が、友達になってあげると言ってくれた。
私は心の底から喜んだ。だってこんな私の友達になってくれる人なんてそうそう居なかった。
「ぁ、ぇと、名前……」
そう言えば彼女の名前を聞くのを忘れていた。
「深淵今宵、です……」
女の子、深淵今宵ちゃんは晴れて私の友達となった。
私は、彼女がどんな人かも知らずに、彼女の事を信じ続けると決めてしまった。
「ぁ……。そういや今日隣のクラスの日直って暗菜だっけ」
一人の少年は鞄を持ちながら隣のクラスに向かう。
彼が彼の友達と、その友達の友達と出会うまで後少し____