複雑・ファジー小説
- Re: 黒蝶の鱗粉 ( No.15 )
- 日時: 2013/12/26 22:15
- 名前: 雛(元:桜 ◆N64vfsjfrs (ID: I/L1aYdT)
*___誘ったあの子___*
「…………」
黒いコートの人が教室に入ってきた。その人は昨日の朝会って僕が誘った少女だった。
見知らぬ人からの誘いなのに少女は来てくれた。そう思うととても嬉しくなった。
「じゃあ自己紹介御願いしますね」
先生がそういうと少女は頷き、前を向いて口を開いた。
「初めまして、今日この学校に転校してきた深淵今宵と申します。……よろしくお願いします」
彼女は丁寧に御辞儀をする。先生がその間に黒板に彼女の名前を書いていた。
深淵今宵、聞いた瞬間は清楚なイメージを思わせる。
けれど……昨日もそうだったけど顔が見えないのは少し残念。どうしてフードを被ってるんだろう。
僕は興味津々で彼女を凝視していた。
「……宮野、どうかしたか?」
先生が凝視している僕に気づいたのか問った。
「ぁ、いえっ、別に何も!」
焦って言う。いきなり名前を呼ばれて流石に冷や汗をかいた。
「空いてる席は……宮野の隣だな。じゃあ深淵さん、宮野の隣の席を使ってください」
えっ!? 僕の隣!?
偶然なのか彼女の席は僕の隣になってしまった。
「分かりました」
「宮野、手挙げろー」
「ぁ……は、はいっ」
慌てて手を挙げろ此方此方と彼女を招く。少女は黒いコートを揺らしながら机と机の間を歩いて此方に来る。
「昨日ぶりですね……宜しく御願いしますね?」
彼女は席に座って僕にそう言った。
「ぁ、うん……!」
僕は照れながらもそう返した。きっと今の僕は凄く嬉しそうにしているんだろうな……。
「……そう言えば貴方の御名前は?」
僕は偶然にも昨日会った少年の隣の席になった。そう言えば僕は彼の名前を聞いていなかったので一応聞くことにした。
「僕は宮野光、宜しくね」
彼は微笑んで自己紹介をした。宮野光……何とも普通な名前だな、と思ったが失礼なので言うのは控えた。
「あの、僕の誘い受けてくれてありがとう!」
光さんは嬉しそうにそう言った。何故そんなに嬉しそうにするの?
断られたら悲しむの? 断られなかったからって何も利はないはずなのに。
僕は沢山の疑問を抱きながら少年、光さんのクラスメイトとなった。
あれから授業は普通に進み、休憩時間は西原さんと深淵さんとで楽しく話していた。
深淵さんは始終笑わなかったので、と言うか顔が見えないので楽しいのかはわからないけど。
「ぁ、昼食屋上に食べに行こうよ!」
丁度あと少しで昼食時間になる。僕は二人に提案した。
「そうですね……良いですよ」
「僕も別に良いですよ……」
西原さんも深淵さんも許可してくれたので迚嬉しくなった。
深淵さんの一人称が“僕”だったことに少し驚きながらも僕達三人は屋上へ向い足を進めた。