複雑・ファジー小説

Re: 黒蝶の鱗粉 ( No.6 )
日時: 2013/12/09 00:37
名前: 桜 ◆N64vfsjfrs (ID: I/L1aYdT)

      影の送ったメール


あれから数時間後、ある宅配物が届いた。少女はそれを受け取り箱を開ける。
箱の中には制服や体育館シューズ、生徒手帳など色々な物が入っていた。
「……制服可愛い……」
少女は制服を手に取り袋から出して全身鏡の前に立ち合わせた。
「これから僕も高校生……」
少女は朝、ひょんなことから出会った少年に自分の高校へ招待してもらった。
「手続きは面倒だったけど……」
小さく呟き、腰までの黒髪に紅い瞳の少女は私服から制服に着替え始める。

「……これでよし」
少女は着替え終わり、全身鏡の前に立つ自分を見た。
「……スカートが短いような気がする……」
愚痴を良いながらも嬉しそうにクルクルと回る。
「人間の多い場所……ばれないように気を付けなきゃ……」
少女はさっきとは打って変わり、真剣な顔をする。

ヴーヴーヴー____

携帯のバ イブが鳴った。
「…………? 誰……?」
メールを一件、受信した。
彼女はこの街でメールアドレスを交換した相手など居なかったのでメールが来るのは可笑しい。
少女は携帯を取る。差出人不明___
内容は____
「…………」
少女は目を見開く。此処で初めて、少女は驚きの感情を出した。
「……さっきの人」
メールの内容は___

 やぁ、今日は。朝は驚かせて御免ね? ぁ、それとこのメールにも驚いたかな? 大丈夫、安心して。俺は君を傷つけたりはしないから___
さて、本題に入ろうか。ま、そんなに重要なことじゃないけど。君昼から新しい高校に行くんでしょ? なら気を付けた方が良いよ。其処には普通じゃない人間が結構沢山居るから。
まぁ、用はそれだけ。じゃあまたの機会で御会いしよう、死神様。

「……これだから、人間は面白いんだ……」
少女は心の中で笑った。そして携帯を閉じて元の場所に戻す。
「にしても……“普通じゃない人間”か……」

___心して掛からなければね___

少女はほんの少しだけ口角をあげて言った。


「……ははは、っははははは!」
薄暗い部屋の中で黒い社長椅子座り、足を組んだ男が笑った。
「煩いわよ……」
少し距離を置いたところで壁にもたれかかっている女が言う。
「ごめんごめん、でも……楽しみで仕方ないんだよ……。今回は期待できそうだよ」
「……とことん趣味の悪い人ね」
「誉め言葉として受け取っておくよ」
男は女の冷たい言動を受け取り苦笑いして返す。
「ぁー、楽しみだな〜」
男はそれはそれは楽しそうにその台詞を何度も繰り返した。
薄暗い部屋に、男の楽しそうな声と女の呆れた溜め息が聞こえた。