複雑・ファジー小説

index,1 ( No.9 )
日時: 2014/01/15 18:17
名前: 栞 (ID: uUM3T3.W)


「イケそうか?」
 剣の背を撫でる桜に問いかける。
「あたしを誰だと思ってる」
 得意げに胸を反らす桜に、外山はならいい、と苦笑した。
 オフィスである。
 誰にも見つからないように社長をさらっていくのに、小柄な桜は不可欠だ。

 今回ばかりは、拗ねさせて機嫌を損ねて「やめた」など言わせてはならない。


「入るぞ」
 中学生の顔をした外山はスーツを着込むが、当然の違和感。
 こいつには制服しか似合わねぇ、と桜は内心毒づいた。桜は桜で部内の協力は不可欠だと、最低限の遠慮はしているのだ。

 対して桜がスーツを着たら逆に目立つのは当たり前、いつも通りの私服である。

 外山も違和感そのものなのだから、見つからずに侵入を図りたい。


「よし、行くぞ」

 背広姿の黄瀬のバンに乗り込み、外山につけた監視カメラで様子を見る美穂に見送られ、一同は、“ほんの些細な任務”を果たすために走り出した。