複雑・ファジー小説

Re: 幻想のツァオベライ ( No.10 )
日時: 2014/02/25 18:43
名前: 将軍 (ID: RwTi/h2m)

第八話
なだれ込んできた武装集団はよく訓練された動きで一条たちを囲み、銃口を向けた。
「今日は厄日だな」
「そうだね」
一条は刀に手を添え、雪はお札を取り出して一触即発状態に陥った。
「双方とも武器を下ろしなさい!」
緊迫した状態の中で一声をあげたのは茶髪のセミロングで腰の後ろに刀を帯びている女性だった。
「しかし隊長……」
「私に二度は言わなせないで」
銃口を向けている一人が女性に向けて意見具申したが女性から冷たい眼差しと言葉を受け、素直に銃口を下ろすと他の者もあとに続いて銃口を下ろした。全員銃を下ろすのを確認すると一条は刀から手を離し、雪はお札をしまった。
「ごめんなさいね、部下が失礼なことをして。私は八咫烏第壱部隊隊長の片倉かぐや」
「自分は一条 暁です」
「私は本田 雪です」
「一条君に本田さんね。悪性霊体を倒してくれたことには感謝するけど、一条君の持ってるのって新魔武装よね? なんで君が持ってるの」
「この部屋と隠し扉繋がっている隣の部屋で見つけて一か八かで使いしました」
「そう。それで君たちの登録番号は?」
適格者として国に認められている者は国から登録番号というものが渡される。
「私の登録番号はA-3321です」
「……はい、確認出来ました。一条君は?」
「俺は持っていません」
かぐやの目に鋭い眼光が宿り
「どういうことか説明してもらえるでしょうね?」
「俺のことを調べてもらえば分かると思いますが俺は適格者じゃないんです。いえ、正確には適格者ではなかったんです」
「つまり君は適格者じゃなかったけど今は適格者ってことでいいのよ?」
「その通りです」
かぐやは一条の目を見てからため息を吐くと
「にわかに信じがたいですが、嘘をついているようにも思えないので一応信じておきましょう。ですが貴方には色々聞きたいことがあるので拘束させていただきます。あと刀も一度回収させていただきます」
「お手柔らかにお願いしますよ」
「分かりました」
柔らかく微笑むと部下に命じて腕に拘束具を付けさせ、刀を回収させた。
「お兄ちゃん!」
「大丈夫だ。すぐ戻る」
そのまま一条はかぐやに連れられていった。