複雑・ファジー小説
- Re: 幻想のツァオベライ ( No.2 )
- 日時: 2014/02/25 18:24
- 名前: 将軍 (ID: RwTi/h2m)
第一話
「お兄ちゃーーん!」
4時限目の歴史の授業が終わり、学食で昼食を摂ろうとした矢先、薄い青い髪をサイドテールで結んだ活発そうな女の子が教室の扉から大声で呼んでいた。
「おい雪、頼むから大声で呼ぶな。恥ずかしいだろ」
この少女の名前は本田 雪。俺___一条 暁の幼馴染であり、決して妹ではない。そういったプレイでもないことも言っておく。
「だって、お兄ちゃんでしょ? 私の方が歳下だし。もしかしてお兄ちゃんって言われるのに飽きたの? なら、お兄様かお兄か兄者のどれがいい?」
同じ高校一年だが、俺は誕生日を迎えて16歳になっているが、雪はまだ15歳だ。
「他の選択肢はないの?」
「ない」
「暁とか一条って呼んでくれない?」
「嫌」
もうお互いに高校生になったんだから二人っきりの時はともかく、流石に人前でお兄ちゃんと呼ばれるのは好ましくないわけでやめてほしい
「せめて人がいる前ではやめないか?」
「なんでそんなにお兄ちゃんって呼ばれたくないの? もしかしてお兄ちゃんは私のことが嫌いになったの?」
潤んだ目で上目遣いするな。なんだか俺が悪役みたいじゃないか。周りもなんかキツイ目で俺のことを見てくる奴もいるし
「分かったよ。もうお兄ちゃんでいいから」
「やった! お兄ちゃん大好き!」
潤んでいた顔を満面の笑顔に変え、俺に抱きついてきた。
「で、何の用だ? 昼休みに」
雪は抱きついたまま顔だけ一条の方に向け
「一緒にお昼食べようと思って弁当作ってきた。食べよ?」
以前として離さず、目線だけ動かした。お弁当は重箱に入っており、その重箱は学食に行ったのであろう生徒の机の上に置かれていた。
「お! 今日は学食だったから丁度いい。ありがとうな」
「お礼はキスでいいよ」
「じゃあ屋上で食うか」
お礼の件は無視した。雪はファンクラブが出来るくらい人気がある。だからキスなんてしたら下手すりゃファンクラブ会員の袋叩きにあう。
普通の学校は屋上は出入り禁止かもしれないが、この学校では普通に出入りが自由でベンチや自動販売機が置かれているので結構人気があるので早く行かないと場所がなくなってしまう。
「……もう、本当は嬉しいくせに、照れ屋なんだから。じゃ、早く行こう」
超ポジティブ思考で俺の考えを自分の良いように考えて機嫌をよくし、一条の腕を引っ張って屋上に向かった。
「羨ましい過ぎるぜ、一条。本田さんからの手料理なんて……ファンクラブに報告してやる」
俺が教室から出ると、なんか憎々しげな声で物騒なことが聞こえてきたのはきっと俺の幻聴だろうな。