複雑・ファジー小説
- Re: 幻想のツァオベライ ( No.3 )
- 日時: 2014/02/25 18:25
- 名前: 将軍 (ID: RwTi/h2m)
第二話
「おぉ、美味そうだな!」
屋上で席を確保し、自動販売機から飲み物を買ってから重箱の蓋を開けた。中には卵焼きやタコさんウインナーなど定番のおかずから俺の好みに合わせてくれたのか好物の肉じゃがなども入っていた。
「お兄ちゃんの好きな肉じゃがとかも入れたからね。早く食べようよ!」
「そうだな。いただきます」
雪から箸を受け取り、手を合わせた後、早速好物の肉じゃがを口に入れた。
「美味い!」
ちゃんとジャガイモの中までキチンと味がしみており、口に入れるとホロリと崩れるほどに柔らかい。
「お兄ちゃんの奥様になるんだから料理ぐらい出来ないとね」
「いつ俺が結婚を承諾した!?」
「叔父さんが【暁が欲しいならやるぞ】って」
「親父ィィィーーー!」
なに当事者抜きで人生のターニングポイント勝手に決めてくれてんだよ。母さんも止めろよ
「叔母さんもノリノリだよ」
……うん、あの自由奔放な父さんの奥さんやってる人に期待する方が間違いだったな
「生憎だが、俺は結婚なんて先のことまだ考えてない」
「えぇー、あと二年しかないんだよ? ちゃんと考えてね。子供は何人欲しいとか、私は女の子と男の子が一人ずつ欲しいな」
「ちょっと待て! 結婚は前提かよ!」
慌ただしくも楽しく昼食をその後も摂った。
「最近神社のほうはどうしてるんだ? まだ巫女で神楽舞とか舞ってるのか?」
食後、先に買っておいた缶コーヒーを飲んでいた。
「まぁね、また今度見に来てよ」
雪の実家は神社の代々宮司の一族で、雪は実家を継ぐつもりはなく、また家族も継がせる気はないが一応神社で巫女として働いている。
「お兄ちゃんの方は?」
「いつも通り絶賛開店休業中さ」
俺の実家は剣術道場を営んでいるが門下生が少なく、決して繁盛しているわけではない。
突然学校中にサイレンが鳴り響いた。
「このサイレンってまさか!」
嫌な予感が頭を過ぎり、その嫌な予感を肯定する放送が流れた。
「ただいま当学校内で悪性霊体の出現を感知しました。生徒および全教員は至急地下魔障壁シェルターに急ぎ避難を」
悪性霊体___十数年前、突如として現れた謎の生命体。実弾頭兵器では殺せず、術式武装や霊魔武装、新魔武装でなければ殺すことができない。
「雪、急ぐぞ!」
「う、うん」
雪の手を引っ張って地下シェルターに向かった。