複雑・ファジー小説

Re: 幻想のツァオベライ ( No.7 )
日時: 2014/02/25 18:37
名前: 将軍 (ID: RwTi/h2m)

第五話
「! 始まったか」
突然、爆音が隣の部屋から響き渡ってきた。音だけ聞いてもかなり熾烈な戦いが始まっているようだ。
「こんな強力な新魔武装を保管している部屋なんだ。探せばどこかに術式武装ぐらいあるだろう」
部屋中を必死に駆けずりまわりなにかないか探した。しかし中央に封印されている新魔武装以外には影も形もなかった。そして中央にある新魔武装を食い入るようの見つめた。
「これを使えば雪を……」
手を伸ばしていたが、寸前で思い止まった。使えなければただの犬死だ。
「くそっ!」
なんで俺には剣術以外に才能がないんだ! 俺にも呪霊技法の才能があれば! 術式技法の才能があれば! そもそも適格者であれば、女一人敵の前に置いていかず済んだのに!
やりきれない思いを拳に乗せ、何度も壁に叩きつけた。

「シロ、大丈夫?」
荒い息を吐きながら相棒の安否を確認する。
「傷は負っているが、そこまで大事ではない」
と言いつつも体中に傷を負い、美しかった純白の毛並みは血の紅い鮮血でくまなく染められていた。だが、目に宿っている力強さは健在だった。
対する悪性霊体は少ししか傷を負っておらず、まだ十全とした様子だった。
「シロはあいつを引きつけて、その隙に天狗を呼ぶから」
「心得た!」
シロが勇猛果敢に悪性霊体に飛びかかって行くのを確認するとポケットからお札を出し
「善と悪の両を兼ね揃えた深山の君よ、我の願いを聞き入れたまえ」
「我を呼び出すとは何事だ小娘よ?」
呼び出された天狗は大人とそう大差ない大きさだが、威圧感や霊力が感じられる程に強い。
「あの化け物をやっつけて」
「ふっ、任せておけ」
天狗は余裕の面持ちで悪性霊体に太刀で斬りかかった。悪性霊体はシロの相手でていっぱいで新たな襲撃者の奇襲に対応できず、そのまま太刀で一刀両断された。
「やった!」
「ふっ、造作もない」
太刀についた血を払い、鞘に納め、悪性霊体の死体に背後を向けた。
「グオォォォォォ!」
まさにその瞬間死んだと思われていた悪性霊体は咆哮をあげながらが立ち上がり、その大きな鉤爪で天狗の心臓を迷うことなく突き刺した。
「な、なんだ……と!?」
天狗は驚きを隠せず、そのまま消えていった。
悪性霊体はそのまま雪に狙いを定め向かってきた。
「我が主をやらせはせん!」
シロが雪との間に割って入り、悪性霊体を止めようとしたが如何せん力に差があり過ぎて、シロの決死の行動は功を奏さず、シロは壁に叩きつけられシロは消えていった。
「ッ!」
シロが叩きつけられた衝撃波が雪を吹き飛ばし、雪を壁に叩きつけた。
悪性霊体が大きな鉤爪を振り上げ、その凶刃で雪の命を刈り取ろうとした。