複雑・ファジー小説

Re: アビリティワールド-Abilityworld- ( No.1 )
日時: 2013/12/20 16:57
名前: 遊太 (ID: 8fZYMRgY)

第1話
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氷点下をはるかに下回る、見渡す限り一面の銀世界で、我々は『それ』と出会った。
私は今でも覚えている。あの日の出来事を、あの日の誓いを、あの日のそれぞれの考えを。
だがしかし、時が経つにつれ、我々の考えは食い違い、やがてそれぞれが違う道を歩み始めた。

ある者は、虚偽の噂で悪に染まり────

ある者は、悪者の英雄になり────

そしてある者は、世界的に有名な科学者となり────

いつしか我々は、あの日のすべてを忘れ、己の意志だけで人生を歩んでいた。
気付いた時には、もうすべてが手遅れだった。




だから、私はやってきた。遥か彼方から、全てを取り戻すために。
たとえこの肉体が消えようとも。
たとえこの精神が消えようとも。
たとえこの存在が消えようとも。
怖くない。だって、隣には、あなたがいるから。




私は怖いよ。いや、皆も怖いはずだよ。
だって、過去を変えるってことは、未来にいる私たちが消えちゃうんでしょ?
たとえ消えなくても、私たちの出会いや繋がり、今までの思い出は消えちゃうよね?
そして、あなたが私たちの中から消えちゃうよね?
ここまで皆で頑張ってきたのに────
あなたのおかげで皆が戦えたのに、あなたのおかげで皆が変われたのに────
あなたのおかげで、あなたのおかげで、私は永遠の孤独から救われたのに────
でも、あなたは行くんだよね。
世界を救うために。
────後悔してるよ。
あの時、最後にあなたにかけた言葉が「いってらっしゃい」だったってことに。
もう戻ってこないって分かっていたのに、もう会えないって分かっていたのに。
どうせなら、私の想いを、あなたに、あなたに………────












「怖クナイノカ。自ラノ存在ガ全テノ記憶カラ消エルコトガ」

「怖くない」

「ドウシテダ」

「皆が忘れても、俺は忘れない。皆の記憶は俺の心に永遠に刻まれているから」







これは、1人の青年の、長い長い物語。