複雑・ファジー小説

Re: アビリティワールド-Abilityworld- ( No.7 )
日時: 2013/12/22 20:21
名前: 遊太 (ID: 8fZYMRgY)

第7話
‾‾‾‾‾

寮に戻ってくると、寮の前で談笑している3人の生徒がいた。
3人の生徒は2人に気が付くと、ジョンに向かって挨拶をする。
「こんばんは、ジョン先生」
「相変わらず1班は仲良いな。そうだ優太、彼らから寮の中、1年生の仲間たちを紹介してもらうといい。頼めるか?」
1年生の第1班、国馬天志郎、備前奈織、寺森理は笑顔で頷く。
「まったく問題ありません。それじゃあ行こう、優太」
「うん。ジョン先生、今日は色々とありがとうございました」
優太はジョンに深いお辞儀をする。
ジョンはそんな優太の肩に手を置く。
「堅苦しいことはするな。4年間も一緒に過ごすんだからな。これからもよろしくな、優太」
「はい、よろしくお願いします」
ジョンはそういうと、天志郎たちに優太を任せて校舎の方へと歩き去って行った。
ジョンを見送った4人は、寮の中に入り、1階ロビーで立ち止まる。
「とりあえず、自己紹介すっか。俺は国馬天志郎。よろしくな」
天志郎は見た目は普通の青年であるが、天志郎と握手をした瞬間、天志郎のゴツゴツとした手に驚く。
「うわっ…手すごいね……」
「ははっ。こう見えても天志郎は、1年生トップの実力者なんですよ、さっきも優太君が来る直前まで筋トレしてましたし」
「理、余計なこと言わなくていいぞー」
天志郎はそう言いながら、理の頭を軽く小突く。
優太は理の言葉を聞いて驚いた。
「ってことは、1年生の中で一番強いってこと?」
「そういうことだね。で、私は備前奈織。奈織でいいよ」
奈織はポニーテールが特徴的で、女性だが身長が170cmほどある。
優太は奈織が腰にぶら下げているボクシンググローブを見て、奈織に質問する。
「そのグローブはなに?」
「私、こう見えてもボクシングが得意でね。瞬発力やフットワークの軽さなら天志郎にも負けない自身あるよ」
「こう見えてもって」
「何か言った?」
天志郎の呟きを、奈織は聞き逃さなかった。
奈織は天志郎の首を絞め、そんな2人を理が止める。
「もう止めて下さいよ!!…最後になりましたけど、僕は寺森理。座学なら天志郎さんにも負けません」
「お前ら、俺仲間だろ。同じ班員だろ。どうして張り合う」
優太は3人のおかしなやり取りを見て笑ってしまう。
優太が笑っているの見た天志郎、奈織、理の3人も笑う。
「まぁ、クリスフォードはこんなところだよ。」
天志郎がそういうと、理が優太に質問をする。
「優太君は、1階の説明は受けましたか?」
「受けたよ」
「それじゃあ3階の男子部屋に行くか」
「じゃあ私、2階に行って女の子たち呼んでくるわ」
「なら3階の男子の広間に来てくれ」
「了解〜」
奈織はそういうと、先に階段を上がって行った。
天志郎と理を先頭に、優太も3階へと上がる。
「部屋は1人1つある。ベッド、テレビ、勉強机に椅子、タンスはもともとある。欲しい物あれば、月に一度、学校に置いてある自動販売機の補充でやってくるおっちゃんに欲しい物リストを渡すんだ」
「欲しい物リスト?」
「1階の自動販売機の横に置いてあります。それに欲しい物を書いて、そのおじさんに渡せば、来月には届きます」
「へぇ。なんか面倒くさいな」
「こんな海の真ん中にある島だからな。不便なことは多いよ」
天志郎たちと会話をしながら、優太たちは3階に着いた。
3階は1階とは違い、ログハウスチックな造りとなっており、優太の鼻に木の匂いが広がる。
廊下には向かい合うように部屋があり、扉に名前の札がかかっている。
「2階と3階は見て分かるように、ログハウスのような造りなっています」
「落ち着くね」
「4年間もこんな島にいたら、その間に不安でホームシックになるやつも出てくる。なるべく安心できるような、くつろげるような造りになってる」
3人が廊下を歩いていくと、ちょうどそのフロアの中央にソファとテレビが置いてある広間に着いた。
そこには他の1年生男子が集まり、話をしていた。
「おぉ!!来た来た!!」
ソファに座っていた巨体の男子生徒が、フロアに響くほどの大きな声で言う。
その男子生徒の横に座っていた、リーゼント気味の髪型である男子生徒が鬱陶しそうな顔をする。
「篤彦!!声がでけぇんだよ!!」
「いいじゃないか!!優太!!こっち来いよ!!」
その男子生徒に呼ばれ、優太が彼らに近づくと、その男子生徒とリーゼントの男子生徒の間に座らせる。
天志郎と理も空いたソファに座り、優太は男子生徒に囲まれる形となった。
「お待たせ、連れてきたよ」
2階の女子フロアから、奈織が1年生の女子を引き連れてきた。
こうして、ここに1年生全員が集った。
「誰が仕切る?」
「天志郎でいいだろ」
全員の意見により、天志郎が司会を務めることになり、優太の歓迎会が始まる。
「じゃあ、優太の自己紹介は夕飯の時に終わったから、まずは俺たちの自己紹介から始めよう。俺たち第1班はもう済ましたから、2班から頼む」
天志郎がそういうと、優太の目の前に2人の男女生徒がやってくる。

「私から自己紹介するね!!私は天条智花。優太君、これから同じ班として色々頑張っていこうね!!」
智花そう言いながら、優太の手を取り、両手で固い握手をする。
「よ、よろしく…」
智花のテンションの高さに、少し引いてしまう優太。
「俺は黒崎隼人。4年間よろしくな、優太」
「よろしく」
優太は隼人と握手する。

「じゃあ、次は第3班だ」

天志郎がそう言った次の瞬間、優太の隣に座っていた巨体の男が手を挙げ、優太の方を見る。
「俺は高良篤彦、よろしくな優太!!」
篤彦はその巨体で優太を抱きしめる。
「ぐ、ぐるし…」
「篤彦、優太君が苦しそうだよ」
そう言いながら、篤彦の後ろから身長190cmを超す長身の男子生徒が現れる。
篤彦から解放された優太は、息を整えて、その男子生徒を見た。
「僕は科野照、よろしく優太」
「私は村山悠」
「え?」
優太は突然聞こえた女子生徒の声が、一瞬どこから聞こえているのか分からなかった。
しかしよく見ると、照の後ろに小柄な女の子がポツンと立っている。
「あんた、今一瞬だけ私に気づかなかったね」
「い、いや…その……ごめん」
悠の目つきは鋭く、優太は苦笑いを浮かべながら謝る。
「悠、初対面の人に怒ることはないだろ」
「怒ってないよ。筋肉ダルマ」
「あぁ!?誰が筋肉ダルマだ!!」
篤彦は悠に襲い掛かろうとするが、それを照が止める。

天志郎はそんな第3班を無視し、続けて第4班の自己紹介をお願いする。

「私は柊萌々子。よろしくね、優太君」
「僕は栗井雪村。4年間よろしくお願いします」
「俺は篠原武道。よろしくな」
第4班の自己紹介があっという間に終わったことに対し、天志郎が一言付け加える。
「この班、ちょー普通だから」
「はぁ!?お前らが特徴的すぎんだよ!!この変人どもが!!」
武道の言葉に、奈織がピクリと反応する。
「その変人には、私も含まれてるわけ?」
奈織が笑顔で武道に尋ねる。その笑顔に、その場が一瞬で静まり返る。
「そ、そんなわけないだろ。冗談に決まってるじゃないか…」
「だよね〜。天志郎、続けちゃって」

「お、おう…じゃあ、次第5班」

「僕は柚木陸也。全学年トップの男子生徒で有名なんだ、よろしく」
「え?」
優太は陸也のその言葉を聞き、天志郎を見る。
すると、天志郎は冷めた目で陸也を見つめたまま優太に言った。
「実力ははるかに俺の方が上だ。そいつは全学年で確かにイケメンだが、自称だ」
「天志郎、つまり僕がイケメンってことは認識してるんだろ」
「黙れナルシスト」
確かに、陸也はほかの男子生徒と比べるとイケメンではあるが、性格に難があった。
「私は瓜生美玲。よろしく」
優太は美玲と握手をする際、つい美玲の胸元に目がいってしまう。
それに気づいた篤彦が、優太の耳元で言う。
「美玲、巨乳だろ?」
「え…」
「やばいよな。美玲、男子生徒の中で一番人気の女子だからなっふぅ!?」
篤彦の頭を、後ろから悠が思いきり叩く。
「余計なこと言ってんじゃないよ」
「な、なんのことだ」
「はいはい。俺は雨水速、よろしくな優太」
「よろしく」
優太は第5班の唯一の常識人、速と握手を交わす。

「じゃあ、次第6班」

「俺は鐵見修吾、よろしく」
「私は神崎榛名。よろしくね優太君」
「俺は新城颯太。よろしくな」
優太は第6班の3人と握手を交わす。
「じゃあ最後、第7班」
「おっしゃ!!」
優太の隣に座っていたリーゼント頭の男子生徒が立ち上がり、優太の方を見る。
「俺は第7班の冠龍太郎。龍でいいぜ。よろしくな優太」
龍太郎は優太とアツい握手を交わす。
「俺は岩野恭祐。よろしく〜」
恭祐はポッチャリな体系であり、とても穏やかそうな雰囲気を出している。
「よろしく、恭祐」
「私は早見鈴花。よろしく、優太君」
「よろしく、鈴花」
優太が鈴花と握手をすると、鈴花はなぜか顔を赤らめる。
それに気が付いた龍太郎が、ニヤニヤと笑いながら肘で鈴花を小突く。
「おいおい鈴花、なんだよお前。優太に一目惚れでもしたのか〜?」
龍太郎のその言葉で、全員が笑い、鈴花を茶化す。
「そ、そんなわけないじゃん!!変なこと言わないでよ!!」




「なんとか…やっていけそうだな……」


優太は誰にも気づかれないようにそう呟くと、みんなと共に笑った。