複雑・ファジー小説
- Re: アビリティワールド-Abilityworld- ( No.10 )
- 日時: 2013/12/27 13:24
- 名前: 遊太 (ID: 8fZYMRgY)
第9話
‾‾‾‾‾
翌日
優太、照、篤彦はプレゼントのヌイグルミを決めるプレゼントチームに、理、隼人、天志郎、龍太郎は夜景を探す夜景チームに分かれた。
7人は朝早くから優太の部屋に集まり、作戦会議を始める。
司会進行は、告白大作戦の提案者である篤彦だった。
「ではこれより、作戦会議を始める」
「なんで俺の部屋なんだ?」
「なんとなくだ、気にするな。では理、頼む」
篤彦が理の方を見ると、理が全員の前に出る。
「とりあえず、来月までにプレゼントを決めて欲しい物リストに書き込み、再来月にはプレゼントが届く段取りです。プレゼントチームは悠さんの趣向をよく考えて、プレゼントを決めてください。夜景チームはプレゼントチームと比べて時間に余裕がある分、最高の場所を見つけましょう!!」
最早、理が仕切っている状態だったが、どうやら優太と照以外はとくに気にしていない様子だった。
篤彦たちは雄叫びをあげ、作戦成功を誓い合う。
理はその姿を見て、ため息を吐いて言う。
「威勢が良いのはいいんですけど……この作戦に関わっていない男子はもちろん、女子や先生には決して気づかれないようにお願いします。もし誰かの耳に入れば、こんな狭い島の中だとすぐに広がりますからね」
「分かってるよ!!」
篤彦と龍太郎は声を揃えて言う。
そんな2人を見て、優太はボソリと呟く。
「大丈夫かな〜…」
「僕のために頑張ってくれるのは有難いんだけどね……」
照は笑いながら言う。
照は優太が入学して2週間、勉強や学校のマナーを親切に教えてくれた人物の一人だった。
穏やかで誰にでも優しく、女子や先生からも頼られる信頼されている生徒である。
優太は何としても、この作戦を成功させたかった。
7人は円陣を組んで気合を入れ、優太の部屋を出る。その時だった。
「どうも」
優太の部屋の前に、奈織と鈴花が立っていた。
先頭に立っていた篤彦は驚き、後ろに立っていた龍太郎にぶつかる。
「何してんだよ篤彦……ってうぉっ!?」
「朝から賑やかだね。天志郎、理」
奈織は同班の天志郎と理の名を呼ぶ。すると、2人が苦笑いを浮かべながら前に出てくる。
「ど、どうしたんですか?奈織さんもこんな朝早く男子のフロアに」
「照と悠ちゃんの告白を成功させる話でしょ?」
「そうだよ。けど、お前には関係ないだろ」
当たり前のように天志郎が答えるが、その瞬間、男子7人は凍り付き、一瞬沈黙が走る。
照は顔を真っ赤にして、奈織と鈴花の顔を何度も見る。
篤彦は血相を変え、奈織に尋ねる。
「ど、ど、どうして……知ってる?」
「あんたら声がでかいのよ。もしかしたら、私たち2人以外にも聞こえてんじゃないの?」
奈織のその言葉で、7人は落胆の声を漏らす。
「マジかよ〜」
「ウソだろ!?」
「理、どうするんだ?」
篤彦が理に尋ねた時だった。
「私たちも手伝うわ」
奈織のその言葉に、全員の表情が一変する。
中でも驚いてたのは、天志郎だった。
「お前…マジで言ってんのか?」
「なんで?別にいいでしょ?あんたたちだけじゃ、女の子の気持ちなんて微塵も分からないでしょ?」
「私も時間あるし、出来る限りのことは手伝うよ」
奈織と鈴花の優しい言葉に、照は顔を赤くしたまま微笑み、篤彦はその場で土下座をいし始める。
「うぉぉぉぉ!!!!ありがとう!!!!奈織!!!鈴花!!」
「暑苦しい、筋肉ダルマ」
「じゃあ奈織さんと鈴花さんはどちらのチームに振り分けましょうか?」
「私は夜景を探すチームに入るわ。鈴花はプレゼントチームに行きなさい」
奈織のその言葉に、鈴花は「えっ!!」と声をだし、首を激しく横に振る。
「無理だよ!私が夜景探す方に行くよ!!」
鈴花がそういうと、奈織は鈴花の肩に手を回し、一度篤彦たちから離れる。
篤彦たちは顔を見合わせ、首を傾げる。
「あんた、優太のこと好きなんでしょ?」
「え!?」
奈織のその言葉に、鈴花は頬を赤く染める。そしてみるみるうちに、耳も真っ赤にする。
「それくらい分かる。この機会で、優太と距離近めなよ」
「で、でも……」
「それに夜景チームには問題児ばっかだから、鈴花だけじゃ無理でしょ?」
奈織のその言葉に、鈴花はチラリと振り向く。
夜景チームは、天志郎、隼人、龍太郎、理の4人である。
理がいるからまだしも、残りの3人と行動すると考えると、鈴花は確かに無理だと感じる。
「大丈夫。少し話すだけでもいいじゃない」
「うっ……わ、分かった」
2人は振り向き、7人の方へと戻る。
篤彦が首を傾げ、奈織と鈴花に尋ねる。
「何の話だ?」
「別に。じゃあ、私は夜景チーム、鈴花はプレゼントチームを手伝うわ」
その言葉を聞き、照は2人の前に出てお礼の言葉を言う。
「ありがとう、奈織、鈴花」
「いいよ。それに、照には色々と勉強も教えてもらったしね」
「お礼だよ。役に立てればいいけど」
2人の優しい言葉に、照はもう一度「ありがとう」と言う。
新たに加わった2人を足して、9人は再び円陣を組み。
奈織が少しばかり嫌そうな顔をしたが、天志郎や龍太郎が無理やり円陣に入れた。
「それじゃあ、今日より照の告白大作戦を決行する!!絶対に成功させるぞ!!」
「「「「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!!!!!!」」」」」」」」」
***** ***** *****
朝食を食べ終え、まず行動を起こしたのはプレゼントチームだった。
優太、篤彦、照、鈴花は寮から校舎への移動中、どのようにして悠の嬉しがるヌイグルミを選ぶか悩んでいた。
「さてと、俺たちにはタイムリミットがあるしな」
「来月のはじめだね。欲しい物リストの回収の日」
「悠ちゃんが好きそうなヌイグルミかぁ…」
「今流行りのヌイグルミとかないの?」
優太の言葉に、鈴花が答える。
「図書室にあるパソコンで調べてみる?」
鈴花の提案に、照が答える。
「でもあそこ、パソコンの用途を書いてから図書の先生に提出しないといけないよね」
「面倒だな。誰かパソコン個人で持ってるやついねぇのか?」
「さすがにいないよ。パソコンは高額だし、欲しい物リストに書くのが禁止されてるし。悠ちゃん、どんなヌイグルミが好きなのか分からないの?」
鈴花が篤彦と照に尋ねる。
2人はしばらく悩んだ後、照が答えた。
「とくにこれといったものはないね。でも、動物とかのヌイグルミが多かったかも」
「動物かぁ。じゃあ、悠ちゃんが好きな動物が何か分かる?」
「クラゲじゃねぇか?」
篤彦のその言葉に、優太と鈴花は声を合わせて「は?」と言う。
すると、篤彦の言葉に照が賛同した。
「確かに。クリスフォードに来る前、何回か3人で水族館行ったとき、いつもクラゲの水槽見てたよね」
「懐かしいな。それで俺がそのことイジったら、あいつよく怒ってたな」
「クラゲって動物じゃないじゃん……」
優太のツッコミは虚しく、2人の耳には聞こえていなかった。
鈴花は2人の話を聞き、2人にとある提案をする。
「悠ちゃんが本当にクラゲが好きかどうか、2人が確かめてみて」
「確かめるって、どうやって確かめるんだ?」
「何気なく聞いたりするの!!2人の方が、悠ちゃんも話しやすいでしょ!!」
「……な、なんか緊張するね」
照は顔を強張らせ、篤彦を見る。
「俺も鈴花も出来る限りサポートするよ」
「分かった。やってみよう」
篤彦は照の手を握り、無言で頷く。
「なんか、不安だよね」
鈴花は心配そうに、篤彦と照を見つめる。
優太も鈴花に同感したが、ここは祈るしかなかった。
