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複雑・ファジー小説
- Re: Lost colors ( No.9 )
- 日時: 2014/03/09 16:26
- 名前: サカズキ (ID: gOBbXtG8)
学校が終わって、俺は家でのんびりしていた。
何となくついているテレビではニュースが流れており、今日も交通事故の放送ばかりをしている。
この世界から色が無くなって、困ることは多い。俺はふらふらと冷蔵庫へ向かい、中にあるジンジャーエールを取ろうとした。
不意にその手が固まる。
「——?」
冷蔵庫についている磁石。
それは元々カラフルな、とあるアニメのキャラクターを模った物だ。
今やそれも白黒となってる。
———はずなのだが、それはとても色鮮やかだ。
「何だ?」
普段独り言を言わない俺でも、思わず独り言を発してしまった。
周囲は白黒ばかり。そんな中で、この磁石だけ元の色を取り戻しているのだ。
いや、正確に言えば、取り戻したというよりは元に戻ったといったほうが正しいかもしれない。
俺は思わず、冷蔵庫の取っ手ではなくその磁石を引っ掴んだ。
何故かあらゆる色を覚えている俺だから分かるのだが、確かにあの時と同じ色で染まって鮮やかになっている。
(俺の目がおかしい———というわけではなさそうだな)
そうだ、そうに違いない。
もし仮に俺だけ色が見えるようになったとしても、これだけ色が見えるのはおかしい。
証左に、テレビに向けた俺の目には白黒の映像しか見えない。色など見えるわけがない。
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