複雑・ファジー小説

Re: 世界樹の焔とアルカナの加護【お知らせ更新!】 ( No.130 )
日時: 2014/02/15 17:33
名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)

 一週間後、シグナはタルタロスに来ていた。
昨晩のうちにシグナはマルタから、アルカナとゼノヴィスの融合したものを預かっている。
故に今の彼の手中には、その融合したもの"ジェネシス"が八つ収まっている。
実質、二つの世界の力が彼に宿っているといっても過言ではないだろう。
純白のジェネシスを八つ操り、焔も白く輝き、エクスカリバーもまた、煌びやかな輝きを放っている。
髪も白く変色しており、眼は赤く鋭い眼光を放っている。

 白銀の戦士と化したシグナ。無敵と言ってもいい彼は、仲間を連れ添わずたった一人でこの場にいた。


  + + + +


「二つの世界の力が俺に宿った。はっきり言えば、お前たちは足手まとい。俺は一人で行くぞ」

 今朝、彼は今まで知り合った仲間を前にしてこんなことをいっていた。
だいぶ失礼な発言だ。普通なら皆はそう思うのだろうが、この時の皆はそうではなかった。
この時点でシグナは、もう白銀の戦士となっている。その覇気が見た目の変化と共に、もう大丈夫だろうと皆を納得させていたのだ。一部の人物は、その覇気に圧倒されそうになってさえいるほどである。

「シグナ!」

 そして出発前、シグナはマルタに呼びかけられて振り返る。

「私にあんなことを言った手前、ちゃんと生きて帰ってきてよね!もしそうじゃなかったら、どこまででも追いかけるから!」

 マルタのその言葉は、シグナが腕を失ったあの時彼が発した言葉と同じだった。

「わかってるっつーの。お前だったら地獄の果てまで追いかけてきそうだからな」


  + + + +


 ああやって、出発前にマルタの頭を撫でたその右手。
それはもう義手ではなく、ジェネシスのおかげでちゃんとした腕に戻っている。
これならば、古代魔法を多用することも叶うだろう。

「よし、いくか」

 腹を括ったシグナは、世界の命運を背負って出発した。
大迷宮タルタロスという、最強の迷路を攻略するために。
ルミナシアとジルディアの調和を果たし、二つの世界に生きる命が共存できるように。


 ———最愛の愛人の元へ帰るために。そして、星空の元で交わした約束を果たすために。