複雑・ファジー小説
- Re: 世界樹の焔とアルカナの加護【お知らせ更新!】 ( No.132 )
- 日時: 2014/02/15 20:04
- 名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)
「やれやれ、とんだタイムロスだったな」
ゼルフたちと別れたシグナは、そう呟かずにはいられなかった。
何故なら、またタイムロスしそうな原因が目の前にあるからである。
(ふぅ、お次は何ですか?)
そんな彼の目の前には、なにやら捕まった様子の男女が二人。
そしてそんな男女を見下ろしている人物が三人いた。
そのうち一人は彼がよく知る人物である。
「あ、シグナさん」
「フォレスか」
フォレスノームが彼の存在に気付き、振り返って手を振る。
「この人たちは?」
「この捕まっているのがトーソーシャとツイセキシャ。彼らの逮捕を手伝ってくれたこの二人が十六夜空臥と杜宮華実さ」
シグナはその何れの名前も知っていた。もしかしたらジェネシスを通じて伝わる世界の情報の所為かもしれないが。
元々トーソーシャとツイセキシャは、彼がイノセント遺跡で星野から説明を受けたので知っている。
「そう、私がトーソーシャ」
「んで俺がツイセキシャだ」
「へぇ。まあよくも国家を揺るがすようなリアル鬼ごっこを仲良くやれたものだ」
トーソーシャとツイセキシャの名はマスコミでも騒がれている。
(!?)
ここで、ジェネシスと刻印が彼に告げた。
トーソーシャは秩序、ツイセキシャは混沌。
この世界を無に帰す、不純なる要因の一部だと。
「なるほどな」
「うん?どうかしたのかい?」
フォレスノームが問う。
「悪いが、世界の無を司るならばここから消えてもらう。調和が成功した次の世界で会おう———」
シグナはそんなフォレスノームを無視し、その手を光らせた。
+ + + +
「キャハハッ!消えた〜」
「シグナとやら、本当に良かったのか?」
「いいんじゃないか?」
「遺髪も手に入ったし、もうこれでいいよ」
+ + + +
「ここは……」
その後は特に障害もなく進んでいったシグナ。
とある水色の空間で終点だとジェネシスが告げたので、ここが零の世界だと分かった。
そしてシグナは、その世界を知っていた。
ここはかつて、彼がアナスターシャと最初に出会ったときの空間と酷似———というより一致している。
(ここがあのときの世界なら……確か……)
シグナはあの日自分が通った道順を思い出し、その通りに進んでゆく。
ある程度真っ直ぐに進み、右へ曲がり、そしてすぐに左に曲がる。やがて霧が晴れ、周囲の光景が鮮明になる。
たどり着いたそこも、彼が知っている場所だった。
周囲は夜のように暗転した世界。
それでも神殿のようなその場所だけは物が明るく映る。
スポットライトのようなものでもあるのかと思えばそうではない。
何故なら物体に影はないからだ。神殿そのものが光っているわけではない。
「やはり、貴方が来ましたか」
そして響いた儚い声。
「まあある程度は予想していたが……」
シグナの目の前には、見覚えのある影が二つ。
そしてジェネシスは、その影が無へと返すべき不純だと告げる。
その影は、アナスターシャとクレファバースだった———