複雑・ファジー小説
- Re: 世界樹の焔とアルカナの加護【オリキャラ募集開始!】 ( No.24 )
- 日時: 2013/12/31 09:11
- 名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)
自己修復を極めている目前のその蜘蛛。どうやら足だけでなく、胴体までもが自己修復できるらしい。
一度シグナがその蜘蛛の胴体に剣戟を加えたのだが、斬られた箇所はものの数秒で再生してしまったのだ。
「あーもう、今日はトコトンついてないな」
先ほどのゴーレム戦や植物戦にせよ、剣や刻印の覚醒、葬送丸の援護と奇跡が重なって勝利したようなものである。
こんなにも都合のいいことが3回も続くわけが無いだろう。
と思っていたシグナだが、どうやら勝利の女神は彼に微笑んだようだ。二度あることは三度あるとでも言うべきか。
———キィィン———
突如脳裏に響く、何かしらの音。
気付けばエクスカリバーの刀身が、前回は黒だったのに対して今回は赤色になっていた。
同時に刻印の活性化を感じ取り、シグナは自然と自身の活性化も感じることが出来た。
「———っ!」
体が予想以上に軽くなっている。
襲い来る鋭い蜘蛛の足。シグナはそれを何の抵抗もなく切り裂いた。
そして次の足が襲ってくるのと切断した足が再生する前に、大きくジャンプする。蜘蛛の身長を遥かに越えた。
放物線を描くようにジャンプした彼の頂点は、蜘蛛の腹の真ん中部分の上空。
「いくぞ!この毒蜘蛛野郎が!」
一つ吼えたシグナは剣を振りかぶる。同時に剣が変化し、刃部がチェーンソーのような鋸状の刃となった。
彼は重力操作魔法を駆使し、自身の落下速度を上昇させる。
刹那、シグナはその剣を思い切り振り下ろす。丁度蜘蛛の大きな腹を抉り、抉ったと同時に落下速度を急激に落とし、ゆっくりと地面に着地する。
蜘蛛は奇声を発しながら、突然の横っ腹からの激痛に悶え苦しむ。
すかさず葬送丸は鎌を投げ、それに付いている鎖を手元に思い切り引きながら、蜘蛛の足を4本同時に切断。
そしてその隙に、シグナは奥義の準備に取り掛かる。
剣を地面に突き刺した後に刻印を現し、先ほどから解き放たれている魔力の嵐を剣に集中させた。
剣を引き抜いたときには、その刀身の5倍以上もの長さのそれが魔力で模られていた。
宛らビームソードのようなそれは紅い光を放っており、振るった後には紅蓮の軌跡が残る。
丁度態勢を構えなおした頃、またしても蜘蛛の攻撃がシグナを襲う。だがぬるい。
シグナはサッと後ろへ飛んだ後、またもや常識はずれなジャンプを繰り出す。
彼は剣を振りかぶった。狙いは、足の付いている胴体と巨大な腹の境目。蜘蛛はここが一番体の中で細い部分である。
「くたばれぇぇぇぇ!!」
雄たけびと共に、その剣は振り下ろされた。
その一撃必殺の斬激は蜘蛛を真っ二つにする。
蜘蛛は血やらハラワタやら様々な体内の液体などをぶちまけ、動かなくなった。
鮮血が二人に降りかかる。
「はぁっ、はぁっ……全く、シミ落とすの大変なんだぞオイ」
「ははっ、全くだ」
苦戦の末にシグナの奮闘により、二人は勝利した。
そんな様子を世界樹は、まるで微笑むように見ていた。
(戦いの中どこまでも進化せし焔の力。神をも凌駕するその力を、人はどこまで覚醒させることが出来るのか……フッ、楽しみだ)
だが、安堵している暇はなかったようだ。
「あぁ?」
シグナが蜘蛛の死体の異変に気付く。
「うお!?」
「何だシグナ……うわ!?」
蜘蛛の腹から出てきたもの。
それは無尽蔵ともいえる蜘蛛の幼虫だった。幼虫とはいえ、軽く人の手のひらサイズ並の大きさがある。
「あーもーめんどくせぇなぁ!!」
シグナが怒った。
かと思えば彼は重力魔法を操り、無限に湧いて出てくる蜘蛛の動きを封じた。まるで貼り付けの刑である。
そのまま殺すのかと思った葬送丸だが、彼の予想は大いに覆された。
シグナが、まさかの火柱大円陣を繰り出すというとんでもない事を仕出かしたのだ。
火柱大円陣はその名の通り、形成された炎の魔方陣から無数の火柱を出現させる魔法。
その大きさは調整可能で、彼が形成したのは丁度蜘蛛全部を覆うほどの大きさだった。
その高熱で一瞬にして焼き払われた蜘蛛たちは、原形を留めないままに丸焦げと化す。
それでも尚燃え盛る炎の中、二人は笑っていた。
「あー、やべぇ。やらかしたわ」
「あはは、やってくれたみたいだねぇシグナ君」
一方でその頃、遺跡から煙が出ていると外で騒ぎになっていたそうだ。