複雑・ファジー小説

Re: 世界樹の焔とアルカナの加護【オリキャラ求むッ】 ( No.34 )
日時: 2014/01/01 11:06
名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)

「うーん、朝か?」

 随分寝た様子のシグナはのんびりと目を覚ました。
 はずだったが、目に映ったのは霧に覆われた世界で、自分の部屋ではなかった。
 自分の部屋が霧に覆われたか、とも思った彼だが、布団の感覚が無いのを考えると自分の部屋ではないらしい。

「あ〜、夢か」

 寝ぼけている、と言うわけではないようだ。
 しかし段々と意識がはっきりしてくるにつれ、夢かどうかはともあれ、この妙な世界に疑問を持ち始めるシグナ。
 どうするべきかと悩んだ挙句、先に進んでみることにした。
 この霧だけの世界だが、地面には道が続いている。水色のガラスのような道で彼はそこに立っており、奈落のように果てが霧で見えない足元が透けている。

「おーい!」

 無駄だと思いつつ誰かいるかと叫んでみるも、当然ながら返事は無い。
 それどころか声が木霊する気配すらなく、自分の声が聞こえているだけで声を発している感覚がない。
 仕方なく、黙々とその一本道を前に進むことに。後ろはどうやら行き止まりらしかった。形成する不可侵の魔方陣がそう物語っており、シグナもそこを行き来できなかったのだから。


  + + + +


「おっと」

 霧で視界が悪かったせいで、突如現れた扉に気付けなかったシグナ。
 その扉は———というより光は、床と同じく水色に発光している。
 潜ればこの先へいけるのだろうか。シグナは試しに、その光の扉の中へ進んでいった。

「?」

 だが光の中に入っても、どこかへ飛ばされたという感覚が無い。
 それどころか周囲から霧が消え、変わりに扉と同じ水色の空間が現れただけである。
 一応違う場所に出れたのかと考えるシグナだが、考えていても何も始まらないのは周知の事実。
 シグナはまた、先へと進んでいく。そうして、歩き始めて数分たったころだった。

「うおっ」

 突如、周囲の景色が変わる。
 所謂隠し部屋か、シグナは目に映った景色を見てそう思った。
 そこは先ほどとは一転し、周囲が夜のような暗闇に変化している。
 しかし、目の前の神殿のようなものは、暗闇でも何故かはっきりと真昼のように明るく見える。

 神殿の明るみに踏み入るシグナ。だが自分に影は出来なかった。

(どういうことだ?神殿そのものが光ってるわけでもないのに)

 空に浮かぶ月はない。シグナの地域ではまだ満月に近い月が見られるので、まずここが現実世界ではないと分かった。
 そうするとここはどこだ。最後の記憶が就寝時なので、夢の世界というのが最も理に適ってるのか。
 どれほどか詮索しながら神殿の中央に来るシグナ。そこには大きな赤い水晶がふわふわと宙に浮いていた。

「?」

 そしてシグナはその水晶の中を見、途端に吃驚した。

「え、女の人?」