複雑・ファジー小説
- Re: 世界樹の焔とアルカナの加護【オリキャラ求むッ】 ( No.38 )
- 日時: 2014/01/02 11:09
- 名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)
目前の赤い水晶の中では、一糸纏わぬ姿の少女が眠っていたのだ。
年の頃およそ15と言ったところで、見た目の年齢ではシグナと同年か少し下である。
その華奢でありながら艶美さを失っていない体躯にシグナは思わず見とれていたが、突然水晶に亀裂が入ったのを切欠にハッとして身構えた。内より水晶と同色の光が漏れる。
———バリィィン!
その割れ方が何処か、アルカナの砕け方と似ている。シグナの内に秘める刻印が、そう物語っていた。
そんなことを考えているうち、水晶は完全に砕け散り、その色素を失った。恐らく何らかの力が失われたのだろう。
そしてその少女は暫く浮遊し、落ちた。彼は慌てて駆け寄り、落ちる寸前でそっと抱き止めることに成功する。
「大丈夫か?」
揺すって声を掛けるも、起きる気配が無い。
と思っていたら何の前触れもなしに、いきなり少女の額に紋章が映った。
その紋章はシグナの持つ焔の刻印と似ている。
だがそれは鏡写しのように模様が反転しており、色も炎のような色ではなく、海の底のような藍色である。
何事かと思っていると、またしてもいきなり何の前触れもなしに、シグナの目前に焔の刻印が現れた。
それは少女の刻印と共鳴するように光合い、共に消える。消えて間もなくシグナは、少女の目蓋が震えるのを見た。
「あっ———」
小さくそう漏らした少女は、ゆっくりと目蓋を開ける。
薄い碧色の髪にどこか映えるその目は、空と同じ蒼穹の瞳だった。
「大丈夫か?」
改めてそう問いかけるシグナに、神殿の巫女のような少女は大丈夫ですと返す。
とはいいつつも、すぐにまた眠りについてしまった。まだ脱力感があるようだ。
「っ!?」
その少女が再び眠りに付いた瞬間、シグナは激しい目眩と頭痛に襲われた。
それが原因なのか、彼は段々と意識を手放さざるを得なくなり、やがて自分の意識も闇に落ちる。