複雑・ファジー小説

Re: 世界樹の焔とアルカナの加護【オリキャラ求むッ】 ( No.39 )
日時: 2014/01/02 12:10
名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)

「む……」

 シグナは再び目を覚ました。また変な場所か。そう思った彼だが、どうやら違ったらしい。
 はっきりと見覚えのある自分の部屋の天井と、自分を包むふかふかの布。
 それらが現実世界であると物語り、同時に先ほどの世界は夢だったと告げていた。
 シグナはどこか安堵したような表情になった。

「ふぅ、やっと開放されたか」

 だが、ホッと一息つくのも束の間。

「んぅ……」
「?」

 何処かで聞いたような少女の声。
 そして同時に気が付いた、自分の右隣にある人の気配。

 シグナは全身が凍りついた気がした。
 だがとりあえず、意を決して右隣を見る。

「うげっ」

 その隣にはやはりと言うべきか、夢に出てきたあの少女がいた。
 まだここは夢の中なのか?そう思って自分の頬をつねるシグナだが、しっかり伝わってきた痛みが現実だと主張した。

(どういうことだ?あれは夢じゃなかったのか?)

 現在午前8時。あれから随分と寝たはずが、何故か疲れている。
 精神的に疲れているのは相変わらずなものの、歩き疲れたような身体的な疲れが残っていた。
 昨日でそれほどかなり消耗したのか、はたまた先ほどのは夢じゃなくて、現実だったのか。

 いくら考えても答えは浮かばない。
 世界樹に問いかけるも、反応が無かった。世界樹でも寝るとでもいうのか。
 そうこう考えている間に、少女は目を覚ましてしまった。

「あれ、ここは———」

 シグナは少女が目蓋をあけてそう呟く寸前、自分の中の本能と生来の反射神経、刻印による勘の鋭さ全てにより、一瞬で全力で、それでいてかけ布をそのままにしながら布団から脱出した。
 刹那少女が目を覚まし、然も何事も無かったかのように背中を向けているシグナを見、あっと声を漏らす。

「貴方、さっきの」
「ん?あぁ」

 声を掛けられたシグナは振り返る。
 僅かにかけ布から覗いている肩からして、未だこの少女は服を着ていないだろう。

「私、なんでここに……?」
「ぶっ倒れてたんだよ。全く、一糸纏わぬ状態で森の中の神殿で突っ伏してたから……一瞬焦ったぜ」

 当然、大嘘である。
 だがここで事の成り行きを全て説明すれば長くなるので、シグナはそう言っておいただけである。
 それにこういうパターンは記憶喪失の場合が多いので、あとから説明し直しても訂正は効くだろう。
 あくまでも本の世界では、だが。