複雑・ファジー小説

Re: 世界樹の焔とアルカナの加護【オリキャラ求むッ】 ( No.41 )
日時: 2014/01/02 14:00
名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)

 とりあえずその少女———アナスターシャに自分の服を着せておいたシグナ。
 この部屋が彼専用だったから一目が無くて助かったものの、彼は事此処へ来て、色々と困っていることがあった。

 まず彼女の身柄をどうするかということ。
 自分はまだ学生。ましてや寮で生活しているので、とても面倒は見切れない。
 教官たちに事情を説明しようかとも考えたシグナだが、相手は数多の生徒を見切ってきている手馴れた大人。
 先ほどのアナスターシャのようにハッタリや嘘が通じるはずもなく、真実を話すにしろ、そのような非現実めいた話を誰が信じるかという問題もある。

 次に彼女の服について。
 異性の服選びに付き合ったことなど今まで一度も無かったので、これも苦い顔をせざるを得なかった。
 自分の服を着せてるのはいいが、如何にも『男!』というようなものしかないので、流石に町を歩かせれない。
 最悪マルタにでも頼めばいいのだろうが、先日の件があるので頼みにくいのも事実。
 さらに経緯などの説明も要求されるだろう。

「はぁ、どうするか」

 ベッドの端に座ってちょこんとしているアナスターシャを尻目に、シグナはただ溜息をつくことしかできなかった。

 最終手段として実家に連絡し、誰が彼女を引き取るのか、ということも出来るかもなのだが、現在両親とうまくやれていないシグナにとってその方法はなるべく———というより絶対に採りたくないと思っている。

「シグナさん、どうかしたんですか?」
「あー、いや。何でも」


 ———コンコン


「!」

 アナスターシャにどうかしたかと心配された頃、誰かがシグナの部屋をノックする音がした。
 シグナはアナスターシャに布団の中に潜ってろと指示すると、扉を開ける。

「外でマルタが呼んでたぜ」
「わかった。準備したら出るから、ちょっと待ってろって言っといてくれ」

 同じクラスメイトが伝言を伝えに来たらしい。
 シグナはその男子が去っていくのを確認してから扉を閉め、ベッドに近付いた。

「おーい、ターシャ」
「ん」

 布団からもそもそと顔を出すアナスターシャ。

「俺は今から出かける。鍵をかっていくから、誰かが来ても応答するなよ?」
「あー、はい。わかりました」

 その返事を確認したシグナは、よし、と言いつつ立ち上がった。
 本当は不安だったが、とりあえず今はマルタを待たせている。


  + + + +


「おーい、マルタ」
「あ、来た来た!」

 寮の入り口付近にマルタが、見知らぬ少年を連れて立っていた。
 その顔立ちや体躯は未だ幼さを残すが、どこかしっかりとした志を持ってるように見える。

「誰?この人」
「ん〜とね、この人私の変な夢に出てきてね?それで今日になったら私の部屋の前で気絶してたの」

 シグナはその話を聞き、自分に降りかかった出来事と酷似していて驚いた。
 少し違うところこそあれど、夢に出てきて翌日、現実世界で自分の前に現れるという点は合っている。

「あ、あのなぁマルタ」
「?」

 シグナも自分に起きた事情を話すことに。
 起きたらいきなり自分の隣で寝ていた、などの事は話していないが、マルタもそれを聞くなり、吃驚していた。

「え〜、どういうこと?」
「さあな。それよりもマルタ、少し頼みがあるんだが……」