複雑・ファジー小説

Re: 世界樹の焔とアルカナの加護【オリキャラ求むッ】 ( No.42 )
日時: 2014/01/02 17:55
名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)

 シグナはその後、アナスターシャをマルタの前に、なるべく人目に気をつけながら連れてきた。

「あ、この子がアナスターシャちゃん?」
「ど、どうも……」
「あぁ。この子がアナスターシャ……まあ長いから、ターシャとでも呼んであげな。それでなんだが———」

 シグナが困っていること。それは言わずもがな、彼女の服についてである。
 その旨をマルタに伝えたシグナ。彼女は快く引き受けたようだ。

「わかったよ。じゃあ早速行ってくるね!」

 マルタも、何故女の子がこんな男らしい恰好をしているのか、と疑問を持っていたがどうやら納得したらしい。
 余計な詮索もされずに済んだシグナは、元気よく走り去っていくマルタの背中を見届けた。

「す、すみません。私のためにこんな……」
「いや、気にするな」
「あ、えっと……ありがとうございます」


  + + + +


「はーい、お待たせ!」

 数十分後、マルタが紙袋を持ってやってきた。
 それは簡素だがやたら高級そうな紙袋で、一瞬冷や汗をかいたシグナだが杞憂だったようだ。
 マルタが買ってきた物は、一着1000円程度の安いものらしい。との本人談。

「これ、着てみてよターシャ!」
「はい」

 マルタはアナスターシャに紙袋を渡す。
 するとアナスターシャはいきなり、渡された紙袋を手にその場で着替え始めた。
 とりあえずシグナは背後を振り向き、人が来ないか警戒し始める。

「寮の裏側になんて誰も来ないと思うよ?」
「いや、念のためな」

 後ろからそんなマルタの声がしてから数分後、もういいよという合図をもらったシグナ。

 振り向けば、声を失った。

「……」
「あははっ!見とれてるよシグナ!」
「あ、あの〜。そんなに見られてたら恥ずかしいんですけど……」

 シグナはハッとして、すぐに睨むような視線を解除する。
 だが彼が呆けていた理由は、ただ可愛らしいという理由だけではなかった。

 現在アナスターシャが着ているもの。それは天使が纏いそうな、とても簡素な服である。
 一部二の腕や脚、肩などが露出している。これから寒くなるこの季節、これは少し厳しいだろう。

「実際どう?可愛い?」

 そんな真面目な思考を巡らせているとも知らないマルタが、シグナにぐいぐい顔を近づけてくる。
 まるで自分について聞いているような素振りだが、シグナはあえて突っ込まず、率直な感想を口にした。

「あぁ、似合ってるんじゃん?」
「やっぱりね!私のセンスは間違ってなかった!」

 時期に関して何も考えてはいないがな、という言葉をシグナは飲み込んだ。