複雑・ファジー小説

Re: 世界樹の焔とアルカナの加護【オリキャラ求むッ】 ( No.49 )
日時: 2014/01/03 17:43
名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)

 その後、アナスターシャとクレファバースの身柄は流星学園が保証することとなった。

 アナスターシャは男子寮にいては色々危ないと、学園長による配慮の元で彼女は女子寮に移される。
 だったら代わりにクレファバースを男子寮に移動させようかと言う話も出たが、マルタを始めとするほとんど———というより全員———の女子の意向により、何故か彼はそのまま女子寮にいることとなった。
 当のクレファバースはかなり困っているようだが、周りがそれを許してはくれないようだ。


  + + + +


「ふぅ」

 とりあえず目前の問題が解決出来、ホッとしたシグナ。
 だが、そんな安心もまたもや束の間、彼は聞いたことの無い声を耳にした。

『焔よ———』

 脳裏に響くその声は、何かの支配者という雰囲気を漂わせている。
 世界樹かとも思った彼だが、声色がまるで違うのでまずそうではないと否定できた。
 だったらこの声は誰のものだ。そう思って呼びかけるも、それに応答してはくれない。

『世界が———と同化———に———カナを———』
「?」

 最後の方はアルカナと呟いたのだろうか。

「やれやれ、アルカナとやらは随分重要なものらしいな。早いトコ見つけ出さねぇと」


  + + + +


 五日後、シグナは生徒会の執務室にいた。
 その場にいるのは彼とマルタと、生徒会の顧問であるディである。

「え〜、あいさつ運動についてどう思いますか?」

 このところ流星学園は、挨拶というものを全くやっていない。
 そこでこの間の生徒会会議にて、会長であるシグナはボソッと「挨拶運動とかどうだ?」と言っていた。
 まさか、それに加わる生徒なんかいるのか。そんなやめたほうがいいと主張する生徒がほぼ多数だったが、ディはそれを本気で良いと受け止めたらしく、現在こうしてそれについての講義がされている。
 他に生徒会の連中を呼ばないのかと思ったシグナだが、そこはあえて聞かないでおいた。

「ま、やらないよりは良いと思います」
「そうですか。ではマルタさんの意見は」

 会話内容を速記でノートに書いていたマルタはゆっくりと顔をあげ、そんな質問をしてくるディをジト目で睨んだ。

「何で私?」

 如何にも何故だ、という聞き方である。
 この学園では役割分担がかなりはっきりしており、生徒会は特にいい例である。
 もっと簡単な例を挙げるなら、サッカーのリベロのようなポジションの人がいないのである。
 因みにマルタは速記の資格を持つので、ここにこうして参加しているだけである。
 一応生徒会の書記として携わってはいるが、そういった役割の人たちは無闇に自分の意見を述べるなという、生徒会ならではの暗黙の約束があった。マルタはそれ故に謎を抱いたのである。

「いや、貴方も生徒会の人間でしょう」
「あぁそういえば、ディ先生は生徒会顧問になって日がまだ浅いですよね」
「あぁ、そっか」

 日が浅ければ暗黙の約束になんて気付けるわけがない。そう考えたシグナはその約束事を先生に話した。

「あぁ、そういうことですか。なるほど、役割分担がはっきりしていますね」


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 その後は何だかんだで、ディの独断で挨拶運動が可決された。