複雑・ファジー小説

Re: 世界樹の焔とアルカナの加護【オリキャラ求むッ】 ( No.65 )
日時: 2014/01/04 21:18
名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)

 一週間後の自由行動日、シグナはギルバード帝国に来ていた。
 あれからシグナの仲間たちは、声を掛けてくれれば付いていくと言う約束を彼と交わしている。
 今日付いてきてもらったのは、マルタ、ティア、アナスターシャの3人だった。
 本来ならマルタとティアだけを連れて行こうと考えていたシグナだが、アナスターシャが無理言って彼に同行の許可を求めたようだ。曰く、アルカナの消失と自分の出現が無関係とは思えない、である。
 因みにクレファバースは、足を引っ張りたくないと同行を自重したようだ。

 なるべく余計な血を流したくないシグナだったが、マルタとティアが彼の否応無しに同行許可を出したので、傷一つつけさせないという約束の下でシグナは改めて同行許可を出した。
 因みにアナスターシャは魔法が使えるかもと言っていたが、彼女に杖や魔道書などの獲物はない。
 それを聞いて、内心不安になったシグナであった。
 そんなシグナの顔をあまり気にする様子でもないマルタが、彼のその顔を覗きこんで問いかける。

「それで、何処へ行くの?」
「そうだなー。前回は有名な遺跡の中にあったわけだし、今回もどっか遺跡へ繰り出すか」

 シグナは前回の経験からヒントを得て、どこかの神殿や遺跡といった場所へ行こうという方法を採った。

「このあたりで有名なのはイノセント遺跡だと思う」

 ティアが呟いたイノセント遺跡。それは、この国の上空に存在する天空遺跡へつながるといわれている遺跡である。

「ええ、それでいいと思います」
「それじゃあ、れっつごー」

 アナスターシャも賛成し、一向はイノセント遺跡へ向かうことに。

 だが、抑揚の無い涼しげなティアの声色がシグナの眠気を誘った。思わず欠伸が出てしまう。
 すると、白く小さな手のひらがシグナの頬に飛んできた。


 ———バシンッ!


「いってぇ!」

 その手はマルタのものであった。
 彼女は子供のように頬を膨らませ、シグナを睨み上げている。

「ちょっと!これからアルカナ探しに行くのに欠伸!?」
「あ〜、わりぃ」

 ティアの声の所為だ、とは、口が裂けてもいえない。いってはいけない。
 欠伸ぐらい好きにさせろ、と言うと恐らく二発目が飛んでくるのでいえない。いってはいけない。
 するとシグナは、アナスターシャの様子がおかしいのに気付いた。

「うん?どうしたターシャ?」
「いえ、さっきから人の騒ぎ声が……」

 そういえばさっきから騒ぎ声がする。マルタもそう色めきたった。
 ティアは欠伸をしてぼんやりしているばかりである。

(俺には怒ってコイツには怒らないのかマルタぁ!)

 チリチリと怒りがこみ上げてくるシグナ。とはいえ、ここで一行の行動を仕切るのは自分。言わば隊長である。
 故に自分が気を抜いてはいけない。そうわかっていながらそれでも怒りはこみ上げてくるので、魔力で無理矢理静めていたシグナだが、それを必要とするのはその後数秒だけであった。