複雑・ファジー小説

Re: 世界樹の焔とアルカナの加護【オリキャラ求むッ】 ( No.69 )
日時: 2014/01/05 15:36
名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)

『や、やめ、やめろぉぉ!うおああああぁぁぁ!?』

 機内に搭乗しているであろうその男はパニック状態になっていた。
 今頃機内で火花でも散ってるんだろう。そう考えると笑いが止まらないシグナであった。

「悪いな。魔法は一度発動したら完了するまで止めれねぇんだよ」
『ぎゃあああああああああ!?』
「うるさいな、こいつ」

 不要な悲鳴まで聞こえてくるのに対し、ティアが怒りを覚えたようだ。
 普段から(シグナが見た限りでは)静かな場所を好むであろうティアにとって、それは怒るだろう。
 そのせいか、ティアが発生させた魔法がさらに威力を増している。


  + + + +


 その後数十秒立ち、継続式だったその魔法は消滅する。
 シグナたちの目前にあるその人型有人兵器は、装甲が一切の例外なく傷つく、あるいは無くなった状態で倒れていた。
 内部の電子回路などが露出しており、それらは所々火花を散らしているのが見え、ショートしているのが目に見えて分かる。

「派手にやったなぁ」
「でも敵」
「そうですよね」
「右に同じー」
(うわー……これだから女は怖いんだよ)

 だが、安心するのはまだ早かったようだ。


 ———ギギギ……


 再度、機械の稼動音がする。

「えっ」

 改めて遺跡へと歩き出した一行が振り返ると、その場にいた全員がそう漏らす。一体どういうことだと。
 かと思っていると、今度は不思議な赤い光が兵器を包む。

「これは———」

 兵器を包んだ赤い光。シグナはその光に見覚えがあった。

「これは、アルカナの光だな」
「え、本当に?」
「あぁ」

 刻印と自分の記憶がそう物語っている。間違いない。

「だったら丁度いい。アルカナを積んでるのかもしれないんでしょ。壊そ」

 まて!と叫んだシグナだが遅かりし。既にティアが、先ほどと同じ魔法を兵器に向けて放っていた。

「チッ」

 シグナは小さく舌打ちをすると、焔独特の魔法を唱えた。
 それは刻印の加護により、一定範囲内に作用する害のある魔法を無力化するものである。
 何故彼がその魔法を唱えたか。それは———

「きゃっ!な、何よこれ!」

 強力な下降気流がシグナたちを襲ったから。

 現在あの兵器には、アルカナの加護が宿っている。
 恐らくはあらゆる攻撃を無力化するのかもしれない。刻印がそう、シグナに情報を伝えていたのだ。
 故にシグナが咄嗟に唱えた防御魔法により、跳ね返ってきた魔法の威力を無力化に成功。
 彼らは強い風を受けるだけで済んだ。

「気をつけろよ、みんな。恐らく、今のあれは無敵だ」

 シグナたちは、アルカナの力で装甲を再生させるその兵器を睨む。
 その人型有人兵器は、再び立ち上がった。