複雑・ファジー小説

Re: 世界樹の焔とアルカナの加護【お知らせ更新】 ( No.76 )
日時: 2014/01/10 21:32
名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)

「……チッ」

 刻印が暴走する。
 そうしてアルカナを開放したシグナ。同時にその力が、目前の兵器を粉々に爆発させた。
 だが、兵器より出でたアルカナは彼の体内に収められたものの、シグナは力尽きてその場に倒れてしまう。
 同時に体内の魔力を使い果たしたらしいアナスターシャも倒れてしまった。

「し、シグナ!?ターシャちゃん!?」
「甘い」

 そんな二人を心配したマルタ。だが———


———ドォォン!!


 目黒の放ったロケットランチャーの爆風に巻き込まれた彼女。
 声を上げることも出来ずにその場から吹っ飛び、地殻の大岩に体を強打した。
 肋骨が何本か、派手に折れたのが分かった。

「くっ!」

 残るはティア。

「しぶといな、小僧」
「私は、小僧じゃない……!」

 激しい銃撃戦を繰り広げる二人。
 乾いた音を発して実弾を発する目黒の拳銃に対し、ティアのものは魔力そのものを射出していた。
 銃弾同士が相殺しあう。そんな中、ティアは一瞬油断した。

「!」

 目黒が懐から出したもう一丁の拳銃。その凶弾が容赦なくティアを襲う。
 乾いた音の後の数ナノ秒、ティアは腹部からの刺す様な激痛を感じた。

「ぐっ……痛いっ……!」
「ふん、撃ち抜かれても尚意識を留めるとは……敵ながら見事だ。だが———」

 もう一発目の銃弾は肩に。ティアは力尽きた。
 そんな彼女を目黒は蹴り飛ばし、小さく舌打ちをする。

「アルカナを回収し損ねたか。まあいい」

 目黒はその場を去っていった。
 激しい乱戦の後のその戦場に生命の気配はない。

「……まだ、死ねないっつーの」

 シグナの体を紅いオーラが包む。
 同時に共鳴するように、アナスターシャ、マルタ、ティアの傷も癒え、紅い光が彼女達の体を包む。
 最初に立ち上がったのはシグナだ。

「———」

 見開いた目は赤く染まっている。
 その強力な眼光が光り、去って行く目黒に突き刺さった。それに気がついた目黒が振り返る。

「死ね」

 その言葉がはもった刹那———