複雑・ファジー小説
- Re: 世界樹の焔とアルカナの加護 ( No.83 )
- 日時: 2014/01/19 18:57
- 名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)
「あ?何だよコレ」
シグナはしっかりと、その水色の床を踏みしめている。
こころなしか、その床が形成する道は天空遺跡へ続いているようにも見える。
とりあえずそれよりも前に、シグナはクレファバースの無事を再確認した。
僅かにだが、クレファバースの体はシグナの腕の中で震えている。
そして次はもうするなと注意してから、再度床の状況を詮索し始めた。
「この光の指す先って、確か天空遺跡じゃなかったっけ?」
アルバーンのその言葉に、星野が頷いて肯定する。
(やっぱりか)
このイノセント遺跡に、アルカナの気配は見られなかった。
まだ時間はある。それなら、この道を進んでみるのも良いのではないか。
「思い立ったかが吉日、だな」
シグナのそんな独り言に、三人は首を傾げた。
「この先へ進もう。腹括れよ?」
+ + + +
「うーん……」
所変わって、一年の寮にて。
三階の女子寮部分の医務室で寝ていた、マルタ、ティア、アナスターシャが目を覚ました。
近くには、彼女達の面倒を見ていたリリーがいる。
「起きた?」
「あ、リリーちゃん……」
ティアとアナスターシャが未だ横になっている状態の中、マルタはその華奢な体を無理矢理に起こす。
そして周囲をキョロキョロと見渡し、景色が先ほどと違うことを認識した。
「あれ、シグナは?」
「シグナならもうどっか行ったわよ。ビックリしたわ、いきなり寮の前でアンタ達が倒れてたから」
「あっ……そっか。シグナ君、送ってくれたんだ……」
まだ体力の回復が済んでいない様子のマルタ。彼女から発せられる声はひどく小さい。
それをやっと聞き取れたリリー。だが言葉の意味が理解できず、首を傾げた。
「ううん、何でもないの」
「そ。でもシグナが戻ってきたら、何があったのか問い詰めてやらないとね」
その必要は無い、という言葉を、マルタは何故か発せられなかった。
それで結局言いそびれたまま、医務室を出て行くリリーの背を黙って見送る破目に。
彼女は、この寮で働いている侍女に目覚めの報告をしにいくという。
そして再び意識が落ちたらしいティアとアナスターシャを尻目に、彼女もまた意識を闇へと落とした。