複雑・ファジー小説

Re: 世界樹の焔とアルカナの加護 ( No.87 )
日時: 2014/01/26 14:24
名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)

 そんなこんなで歩き続けること40分———

「や、やっとついた……」

 たどり着いたそこは、やはり天空遺跡だった。
 最早高度が雲の上となってしまっているが、昼でも茜に染まる空や雲との絶妙なコンビネーションが、真っ白で汚れのない天空遺跡全体から幻想的な雰囲気が醸し出されている。

 そんな素晴らしい光景が目の前にあるにも拘らず、シグナたちは特に何も感じなかった。
 あー、天空遺跡がある。そんな感覚である。よっぽどその超長距離に懲りたのだろうか。

「あ、もういいよシグナ」
「あぁ」

 そういえば、とシグナは背中のアルバーンを下ろす。
 桜色に頬を染めたまま、ふにゃりと笑って彼にお礼を言う。
 その出来事を他所に、星野は庭園のような場所にある石碑に目を向けた。


  + + + +


「世界同一化現象?」

 星野の誘導の下、一行は石碑の元へ向かった。
 その石碑に彫られている古代言語の文字。山とある文字の中で、新聞の見出しのような大きな文字はそう彫られている。

「古代文字、読めるんですか?」
「あぁ。勉強すれば誰でも読めるようになる」

 大嘘だ。
 テレポートの存在は知っていても、刻印の存在は知らない星野。だからこそ、この嘘が通じた。
 実際は流星学園でも何処ででも学んでいない。刻印からの情報のお陰で読むことが出来ているだけである。
 それにいざ古代文字を読み解こうとしても、読み解くにはかなりの量の知識を必要とする。
 そこらの学士では絶対に読み解けないくらい難しい。さらに追い討ちをかけるように、古代文字は素人が見ると、どれも同じように見えてしまうくらい複雑な形をしている。
 現在のシグナは、恐らくは世界で一番文字を読み解くのが速いだろう。

「それで、続きは?」
「あぁ。えっとだな———」

 ———来るべき日に来るべき脅威により、アルカナはその力を散らす。
 目覚めるべき覚醒者は光と影。秩序と混沌のように染まり合う光と闇がぶつかり合う時、世界は動く。
 混沌へと落ちるか、秩序が均衡を整えるか、あるいはぶつかり合った末に、無へと帰すのか。
 ———こんな情報が石碑に載っていた。

「混沌?秩序?」
「まだ謎だらけですね。とりあえず、奥へ進んでみましょう」