複雑・ファジー小説
- Re: 世界樹の焔とアルカナの加護【オリキャラ募集開始!】 ( No.9 )
- 日時: 2013/12/30 09:13
- 名前: キコリ (ID: gOBbXtG8)
シグナはその後、自分の得物の変異に首をかしげながらも戦い続けた。
やはり、エクスカリバーは白く発光している。さらには———
———ガギィン!
通じていないも同然の剣戟を当てるごとに、段々と輝きが増してゆく。
そして単調な作業が続くこと数分、エクスカリバーにまた変異が起きた。
「あれ?」
刀身に宿る白い光は、漆黒の光へと変化する。
だが気にしている暇が刹那もないので、シグナはまたゴーレムに飛びかかる。
先ほどまで彼が狙っている部位はゴーレムの肩。丁度関節部分である。
こういった固い敵は大体関節が弱点だと、シグナは刻印の情報で知っていた。
そして剣戟が通じたいと分かっていながらも、彼は渾身の腕力で、ゴーレムの肩目掛けてエクスカリバーを振り下ろす。
ドゴンッ
斬れた。
エクスカリバーはそれまでの剣戟が嘘のように、ゴーレムの右腕を一刀両断し、落とした。
「えっ」
シグナはあっけない出来事に動きを止めた。
だがボンヤリしていると、痛みの感情すらも窺わせないゴーレムが、残った左手でシグナを潰そうと拳を叩き付けて来る。
と思ったときはもう既に遅かった。ゴーレムの拳が、頭上約4メートル付近にあった。
———間に合わない。
シグナは剣で頭上を庇いながらも、目を瞑ることなくゴーレムを睨む。
だが突如、ゴーレムの動きが恐ろしく遅くなった。
「うん?」
とりあえず後ろに飛ぶシグナ。
周囲を見渡し状況を確認すると、それまではいなかった青年がシグナの後ろに立っていたのが分かった。
その青年は身の丈余りの大鎌を左肩に担いだ状態で、右手から闇の魔力を解き放っている。
「しばらく敵の行動時間が遅くなる。さ、早くやっちまおうぜ」
どうやら、あの自分と同じくらいの年の青年が支援をしてくれるようだ。
そう思ったシグナは一つ頷くと安心し、それでいて警戒を解かない構えでゴーレムに飛びかかる。
スローモーションともいえるゴーレムの殴りかかってきた腕に飛び乗り、シグナはその巨大な腕の上を走る。
そして肩まで来た頃、彼は横薙ぎの一閃を放った。
それはゴーレムの首に命中し、一刀両断され落ちる。どの様な生物でも、首と頭を切り離せば死に至る。
台所などの水周りや生ゴミ付近に蔓延る黒い害虫は例外であるが。ちゃんとシグナは分かっていたらしい。
シグナはゴーレムから飛び降りた。同時に、青年の闇魔法が解除される。
ゴーレムは大きな音を立てて倒れ、動かなくなった。やはり首が狙い目なのは当たりだったらしい。
シグナはその青年の元へ駆け寄った。
「ありがとうございます。助けていただいて」
「何の何の。途中からめっちゃ強くなったからいいかと思ったけど、やっぱ素人に変わりはないらしいな〜」
素人。
確かにこういった戦いに関してシグナはまだ素人も同然だが、彼は何故かちょっとした怒りが湧いてくるのを感じた。
言いたい事をズバズバいう人。彼がイマイチ苦手とする人間の性格の一つである。
「じゃあな」
「あ、ちょっと待ってください!」
そのまま立ち去っていこうとするその青年を呼び止めたシグナ。
命の恩人の名前を知らないままに別れるのに、シグナの矜持が許さなかったようだ。
よって、彼は青年の名前を問うた。
「あぁ、俺は葬送丸だ」
葬送丸。シグナはしっかりと記憶した。
そこまで会話した二人は別れることに。
だが進行方向が一緒だったようで———
「あれ?お前の家ってユグドラシル遺跡なのか?」
「違います。ええ、断固として。俺はアルカナを探して遺跡へ行くのです」
「そうか!なら俺もお供するよ。ユグドラシル遺跡で確かめたいこともあるし」
二人は一緒にユグドラシル遺跡へ行くことにした。
後に流星学園がどうの、アルカナがどうの、世界樹がどうのという話に発展し、会話は弾んだ。
だが、それも遺跡の前に来るまでだった———