複雑・ファジー小説

Re: 学園マーシャルアーティスト ( No.12 )
日時: 2016/05/18 21:14
名前: 大関 ◆fd.I9FACIE (ID: 9ihy0/Vy)

=第4話 決死のタイマン=

黒野と菊丸の対決から数日が経過した。
黒野は白石と共にいつも通り部室へと向かっている真っ最中である。

「あれから3日だね……特に進展無しか……。」
「なんだなんだ、まるでお迎えが来るような言い方は。んなもんドシンと構えてりゃいいんだよ。」

あれ以来何一つとして進展は無く、その状況に不安を隠せない白石。しかし、黒野は自分への絶対的な自信の表れなのか、恐れや不安と言う物を見せない。

「第一、俺様が何したってんだよ。俺が何かやってるから襲撃されたみたいだけどよ。」
「さぁ、何やったのさ?」
「知らねぇよ。カチコミぶっ倒し続けてただけだぜ。まさかこれだけで悪人呼ばわりされることはあるめぇ。てか、そもそも俺様相手に舎弟で挑むのも間違ってるっての。倒したけりゃ堂々と番長本人が」

部室である掘っ立て小屋に入るや否や、黒野と白石の目の前に3人の人影が写りこむ。一人は翼、もう一人は3日前の傷を粗方治した菊丸、そして最後の一人は番長こと重蔵その人である。

「……既に殴りこんで来てたりして。」
「ナイスフラグ回収だったよダンナ……。」

白石はもうお終いだと言うかの如く、頭を片手で押さえて俯く。そんな白石に対して黒野は多少驚いた程度しか反応は見せず、鞄を置いて重蔵達によっていく。

「相撲部の黒野、やっぱりお前さんじゃったか。」
「悪いッスね番長。何が何だかよく解からなかったけど舎弟一人ボコボコにしちまってよ。」

軽く視線を菊丸に向けつつ、黒野は重蔵に言う。視線を向けられた菊丸は、思わず突っかかりそうになるものの腕を翼に引っ張られて制止させられた。

「落ち付いて菊丸。ケガ直ったばかりでしょ。」
「悪いね、俺っちも此処まで言われて黙れる程の人間じゃないのさ……!」

翼の制止を振り払い、菊丸は黒野へと向かっていく。しかし、菊丸の目の前を遮るように重蔵の腕が伸ばされた。

「下がれや、これはワシと黒野の喧嘩や。」
「ちぇっ。」
「なぁ、喧嘩って言うけど何か訳あるんすよね?俺が一体何したんすか。」

重蔵が何故自分に対して喧嘩を売ってくるのか、何一つとして黒野は事情を知らない。それに対して重蔵は茶を濁すかのように言い放つ。

「そんならお前さん。ワシと喧嘩しとうない言う事か?」
「なかなかオツな挑発かますじゃないすか番長。いいぜ、俺としてもいつか番長に喧嘩売る気だったからな……。」
「決まりじゃな。来いや、いい場所あるで。」

案内されるがままに黒野と白石は大道寺達についていく。

「(ねぇ、ダンナ……)」
「(どうした?)」
「(勝てる見込みはあるんだよね…?)」
「(無かったら今頃逃げてるっての)」

白石の不安を余所に黒野は理由はともかくとして重蔵と戦える事が出来るからか、気合と自信が入り混じったように白石に言い放ち、その足を進めていった。