複雑・ファジー小説
- Re: 学園マーシャルアーティスト ( No.20 )
- 日時: 2016/07/09 16:00
- 名前: 大関 ◆fd.I9FACIE (ID: 9ihy0/Vy)
翌日の放課後、部室前で黒野と白石は立ち止まっていた。
部室前で引き攣った笑顔を浮かべている白石を何だと言わんばかりに見つめていると言った状況である。
「ね、ねぇダンナ……。」
「おぅ、どうした。鳩が大砲喰ったような表情しやがって。」
白石が見つめていたのは、相撲部の部室に掛けられたボクシング部の看板である。黒野はそれに察したのか、白石が口を開く前にボクシング部の看板を外し、堂々と掲げる。
「お前が知らないのも無理はねぇな。こいつは昨日ボクシング部潰したときの戦利品だ。」
「昨日って……僕が日直だった時……ダンナ。」
「おぅ、なんでぇ。」
白石は懐を探り、自らの得物の特殊警棒を取り出した。それを伸ばすと同時に黒野の頭目がけて思い切り叩きつけた。
「あいたっ!テメェ何しやがる!」
「どうしてそう言う勝手な事するのかなダンナ!僕の身にもなってよ!」
「と言ってもあれはあっちが弥生を無理矢理マネージャーにしようとしたんだからよぉ……仕方ねぇって。」
「だからと言ってももうちょっとやり方があったでしょ!?何取り戻すついでに看板奪ってるのさ!『一応』上位陣にあらぬ形で喧嘩売って!」
「さりげなく『一応』を強調してるあたり、ボクシング部も案外大したこと無ぇみてぇだな……実際8人くらいの束で襲いかかってきたけど、そんなに強くなかったし……。」
いつも以上に強く警告をする白石に対し、一歩下がりながら黒野はその口を開く。その言葉を聞くとともに、やれやれと言わんばかりに顔を押さえて白石は言葉を続けた。
「そんな大したことないってねぇ……ダンナが戦ったのは差し詰め調子乗ってる新人か2年の中堅部員に過ぎないよ。弱かったらこの学校じゃ廃部コースだからね。」
「なんでぇ、やけに偉そうにふるまってると思ってたけど、一番上じゃなかったのかよ。」
「知らなかったとはいえ、此処まで来たら引き下がれないね。教えてあげるよ。ボクシング部の人たちを。」
そう言って白石は部室に入っていき、黒野もそれに続く。
白石は鞄から一つのファイルを取り出し、開いた。そこにはボクシング部の中心人物と、その一人一人の特徴を余すことなく書かれていたのである。