複雑・ファジー小説
- Re: 学園マーシャルアーティスト ( No.40 )
- 日時: 2017/07/03 18:33
- 名前: 大関 ◆C5p8guYtTw (ID: 9ihy0/Vy)
須藤は一気に間合いをつめると、黒野の胴体目掛けて回し蹴りを放った。それを黒野は両腕を使い、問題無くそれを受け止める。
「……これでもそれなりに力を込めたつもりだがな。」
「悪いな。こっちも進化してんだ。それなりの攻撃じゃ通用しねぇよ!」
今度は黒野が間合いをつめると、突っ張りのために腕を振りかぶった。
「はぁっ!」
須藤は大きく振りかぶる黒野よりも先に、その拳を黒野目掛けて突き出す。しかし、黒野はそれを咄嗟に身を屈して回避した。
「へっ、喰らいやがれ!」
がら空きとなった須藤の腹部に、黒野はその掌を叩き込んだ。
「やった!まずは一発だよ!」
「流石にコイツは聞くじゃろうのぉ。」
見物していた立花と重蔵は思い思いのことを口にする。
だがしかし、須藤はそれを何事も無かったかのように、表情一つ変えずにそれを耐え切った。
「……手応えあるのにちっとも効いてねぇや。」
黒野はいったん間合いを取り、己の手を軽く振って、そう言った。
「どういうことじゃい。黒野のテッポウ(突っ張りの意)が全然効いとらんようじゃが。」
「それこそがフルコンタクト空手の競技特性だよ……フルコンタクトは顔面への拳での攻撃が禁止だから、その分腹部に意識が集中できるんだ。だから腹筋を極限まで鍛え、鳩尾すら塞ぐ筋肉の鎧を作り出して自身の身を守るのさ。」
驚く重蔵に対し、白石は淡々と解説を行った。
(結構力込めてテッポウ打ったんだけどなぁ……するってぇと、こいつを破れるのは全力のテッポウ、それかぶちかましくらいか……。)
黒野は頭の中でいろいろと考えながら、須藤を見る。一見すると、ドッシリと構えをとっているが、微かにその足はステップをとっている。寄らば直ぐに動ける状態である。
(……だけどコレ、素直に撃たせてくれないよなぁ)
先の立花や重蔵との戦いで黒野は身に染みて学んでいる。動作の大きいぶちかましでは命中率に期待は持てない。何の策も無しに打てば、一撃必殺の正拳突きが飛んでくること間違いない。
(腹がダメなら……顔面しかねぇよな!)
黒野はそう考えると、須藤に駆け寄り、顔面目掛けて突っ張りを繰り出す。須藤はそれを難なく前腕でそれを捌くが、黒野は構わずに2発、3発と突っ張りを連打。
「甘い!」