複雑・ファジー小説
- Re: 十字星座の戦士 ( No.15 )
- 日時: 2014/01/18 16:38
- 名前: Ⅷ ◆O.bUH3mC.E (ID: fZ73J0jw)
俺はもう一度あたりを見回す。すると、公園の隅っこの方で、こちらには声をかけてこなかったが、俺たち三人のめんどうをよくみていた教官が、こちらをみているのがわかる。久しぶりに見たが、元気そうでなによりだ。
そして、その反対側の隅っこには……機関の、警備隊が、ひとり。
機関の制服である、真ん中に十字架の刺繍がされた白いローブを着ていて、静かにこちらを見つめている。どこか値踏みするかのような視線に感じて、俺は一瞬舌打ちしそうになるが、あえてなにも言わずに、俺はシエルから距離をとる。
フラムとレイが、噴水の縁までより、俺とシエルは、噴水を真ん中に、対峙する。
「俺はいつでもいいぞ」
俺がそういうと、シエルが腰にかけられていた、細剣……たしか名称は、ルビアス・レイピアっていったか、オーダーメイドの一品らしい。
「私も、大丈夫」
しずかに、シエルがそう告げる。
手をだらんとさせて、どこか眠たそうな表情のままそういう彼女はちょっと危うい。だが、あれが彼女の戦闘スタイルだ。型に囚われたガッチガチなものを、少しだけ自分流にアレンジしたのが、彼女の戦闘スタイル。まあ、ガッチガチに型を習っていて、それをそのままアレンジもなしにつかってしまうと、誰もが誰も同じになってしまうから、そこで少しだけアレンジを加えて、我流の型を作るのだ。我流型は、ある程度までは型が定まっているが、戦闘に入る前の構え、技の連携、などはアレンジすることが可能だ。さらに、我流型は、技を多彩に覚えることが可能であり、さまざまな連携技を披露してくるので、俺みたいないい加減な自由型の人間からしたら、やはり厄介だ。
自由型はありとあらゆる状況に対応できるために、いっさい型というのを教わらずにやる、完全な我流型ではあるが、やはり、自分流を極めすぎているので、技を覚えにくい。そのためか、つかえる連携などもかぎられる。俺が朝やってたようなあれがいい例だ。同じ系統の技を組み合わせるのもいいが、やはりひとひねり欲しいところだ。……ま、俺がいい加減にやってなければこんなことで困りはしなかったんだろうがな。
「んじゃ、合図は俺がやるぜー」
と、そういいながらフラムが少しだけまえにでる。俺は鞘から剣を引き抜き、再び適当な方向に投げ捨てる。鞘からだした俺の刀身は、やはり少しだけ刃こぼれが目立つ。だが……いままでずっと、こいつとともに戦ってきたんだ……今日も、乗り切れるはずだ。
「では……戦闘方法は自由、ただし、相手に直接的な攻撃は不可とする、模擬戦闘訓練を開始する。勝敗有りの制定で、先に相手の武器をはじく、または壊すかしたほうが勝ち……それでは」
シエルが、グッと、体に力を入れるのがわかる。俺は体から力をぬき、シエルの動きを読む。
型にとらわれるものは体に力をいれるからすぐわかる。自由型のやつも、力をいれないからすぐにわかる。それが、今俺たちのことを見ている教官から発せられた言葉だ……まさに、その言葉の写鏡のように、俺たちは行動をとっている……そして———
「よし……はじめっ!!」
フラムが元気よく腕を振り上げて合図をだす
さあ————俺が信じる力を、見せてやる。