複雑・ファジー小説
- Re: 十字星座の戦士 ( No.16 )
- 日時: 2014/01/18 16:42
- 名前: Ⅷ ◆O.bUH3mC.E (ID: fZ73J0jw)
合図とともに、シエルが一気に間合いを詰めてくる。常人では出せない速度で一気に迫ったシエルは、剣を突きさすかのごとく、俺を突く。
俺は、その突きを自身の剣でいなして、下にはじく。シエルは一度間合いを取ろうと後ろに跳躍しようとするが、……逃がさない。
俺は相手の剣をはじいたと同時に生まれた隙をつくかのように、シエルにむかって、一度、横一閃に剣を振り抜く。
「ふっ!!」
掛け声とともに、シエルが後ろに向かってバク転をして、俺の一撃を華麗にかわす。シエルの強さ、とは、速さ……そして、順応力にある。どんな相手でも、初めて戦った相手でもそうでなくても、相手の特徴を一瞬にして把握し、次の相手の手を読み、一歩、二歩先の手で攻めてくる。そんな感じだ。だから……俺は、そのシエルの先をいかなければ、勝つことはできない。今、俺に求められているのは……シエルの三歩先を行く戦い方だ!
「『魔光刃』!!」
俺は剣を地面に叩きつける。叩きつけると同時に生まれた衝撃を利用し、大気中に漂うマナの力を利用して、光の衝撃波を生む。その衝撃波はシエルにむかってはなたれ……
「甘いね」
とシエルはそういって、軽々とその衝撃波を、横に跳躍してかわす
「ちっ」
俺は舌打ちをして、シエルから少し間合いをとるために後ろに跳躍しようとする、だが、次の瞬間にシエルは俺のの眼前まで迫っていて、俺は一瞬あっけにとられ、かたまってしまう。
そこを、シエルがのがすはずもなかった。
「『殺迅』」
そう、しずかにシエルが囁くのがわかった。……技の発動には魔法の詠唱と同じく、技名の確認、が必要だ、だから、シエルがその名前を口にしたってことは……技が発動するってことで……
頭のなかで一瞬でその事実を整理した俺は、とっさに自身を守るために剣を縦に構える。シエルはその俺の構えた剣にむかって、銀色だった刀身が、黒い刃に包み込まれ、肥大化したその剣で、突きをいれる。
「うおぉっ!?」
剣と剣がぶつかりあい、金属がこすれるいやな音がしたと思ったら、俺はシエルの技の衝撃で、だいたい二十メートルほどか、吹き飛ばされる。
吹き飛ばされている途中に耐性を立て直し、なんとか地面に着地したものの、シエルはもう、次の攻撃を決めるために、目の前に迫っていた。
(相変わらず速い……!)
おそらく、あいつは一気に勝負を決める気……だったら、おそらく……連続技で勝負をしかけてくるはずだ……だったら……
「考えが顔に出てる」
その言葉に俺はハッとして顔をあげると同時に、腹を鋭い衝撃が襲うのがわかる。シエルは俺の予想と違い、おもいきり俺の腹に蹴りをいれてきた。さきのように吹き飛ばされはしなかったものの、もろにはいってしまったようで、俺は地面に手をついてむせかえる。
「これで終わり」
シエルはそういうと、俺が姿勢を保つために地面にさした剣をはじくために、剣を横一閃に振りかざす。だが———
「甘いのは……お前だ!!」
俺はそう叫び、しゃがんだ状態から無理な体制でバク転をすることによってその攻撃をかわし、戦いを続行させる。
この戦いは、相手に剣でのダメージを与えることを反則とする、対人訓練用の模擬戦闘だ。だから、シエルはいつもどおりの力で戦うことはできないし、俺もその条件は同じだ。だが、俺は、シエルが女の子だからって思って、体術を遠慮なんかしていたら確実に先に負けるのは俺だし、体術でもシエルに敵うとは思えない。だったら……
「勝負にでるまでだ!!」
俺は剣を一度振り、気合を入れ直す。そして、次の瞬間
「うおおおぉぉ!!」
俺はシエルにむかって突進する。
「っ!!……『殺迅』!!」
シエルが俺のその突進に反応して、「技」をつかう。……そうだ、お前は技に頼ればいい、技にたよって、お前の信じる力を貫くがいいさ……でも俺も……自分の信じる力を、貫くまでだがな!!
「ぬおおぉぉ!!」
シエルがさきほどと同じく、黒い影のような刃につつまれた剣を、一直線に突き出す。俺はそれを、斜め下から切り上げ、弾く。
「……くっ」
さすがにそれだけではシエルは剣をはなさない。だが、体は大きくのけぞる。俺はそのがら空きになった胴に、空いている左腕で、思い切り拳を叩き込む。
「……ふっ!!」
だが、シエルはそれを読んでいたみたいで、弾き飛ばされた反動を使って後ろに跳躍する。だが、俺は着地してから、行動させる隙をつくらせるわけにはいかない。勝負は……ここできめさせてもらう。
「いくぞシエル!!『魔光刃』!!」
俺はさきと同じく、剣を地面に叩きつけ、光の衝撃波をはなつ。だが、俺はこんどはそこで止まらない。
「『魔光連弾』!!」
次に俺は剣を前に突き出す。剣の先端に光の弾ができあがる。俺はそれを確認せずに、まずは下方に、次は上方に切り上げる。それによって半月状の光の鎌鼬が生まれ、それがシエルにむかって放たれる。……まだだ!!
「『魔光十連打』!!」
その掛け声と同時に光が剣に宿る。俺はそれを決まった手順もなしに、ただ十回、剣で空を切る。それによって、さきと同じ光の半月状の鎌鼬が生まれ、それがシエルを襲う。ここまでかかった時間は、公園で試しぶりをしていた時の、半分以下だ。
