複雑・ファジー小説
- Re: 十字星座の戦士 ( No.24 )
- 日時: 2014/01/19 23:41
- 名前: Ⅷ ◆O.bUH3mC.E (ID: fZ73J0jw)
2話【Lie(嘘)】
「1000前の古代大戦、神魔戦争っていわれてる、戦争をしってるか?」
外はいまだ、太陽が登っていて、沈み始めてからそれなりの時間がたったころ、フラムの家で昼飯をごちそうになったあと、リビングで四人でくつろいでいるときに、この家の持ち主のヴァルカン家の長男、フラム・ヴァルカンが、突然なにを思ったのか、そんなことをつぶやく。
俺は、フラムの部屋から勝手にとってきた、剣大全集という、この世界のありとあらゆる、オーダーメイドを含めない、剣が乗っている本を閉じ、フラムのほうに顔をむける。
「どうした?突然」
レイとシエルも、会話をやめて、フラムのほうを向く。フラムは、その手になにかの本を持っていて、あるページが開かれている。俺の位置からだとどんな本かはわかるが……その名のとおり、神魔戦争、と書かれた本だった。
「しってるもなにも、お伽話でよくきいてたし、戦闘職業に入る前に教官もその話をしていたはずだよ」
シエルがフラムにたいしてそういうと、チッチッチ、とフラムはいやしい笑顔で指をふる。
「たしかにそうだ。俺たちはほんのがきのころからお伽話として、その話を聞かされ、さらに教官からは、魔物がこの世界にはびこる原因となったその戦いの発端、集結をよくきかされていた、けど、その話には抜けている部分が、いくつかあるんだ」
「へえ」
フラムが本から今得た知識だったが、それには少し興味がひかれた。
神魔戦争、俺たちがよくきかされていた話では、魔界の、中央の王が人間界を占領するために、魔界の東西南北を支配する王を従え、魔物の軍を率いて、攻め入ってきた、というのが始まりで、その人間界を支配することを良しと思わなかった神が人間の味方をして、魔族と戦うという話につながり、神は人間のなかから、魔界の東西南北の王に匹敵する力をもつ人間を、4人つくりだし、さらに、その四人に神器という、現世にも残る武器を託し、そして、最後に、その四人の英雄すべての力を足しても届かない、魔族の王は、四英雄、そして、力を貸した神の力により、魔界に封印されて、めでたしめでたし、といったかんじに終わる。王の封印によって、行き場をなくした魔物たちは、魔界に帰るすべを知らずに、人間界にとどまり、繁殖を繰り返して、今に至る。それがだいたい、俺たちが聞かされる、お伽話で、魔物がこの世界にいる原因で、この世界の人のほとんどが知っている、常識だ。
そこに抜けている部分があるっていうのなら、少し、興味深い。
「まず、確認だ。神魔戦争の敵、魔族。その東西南北の王の名前を答えてみな」
「北がバロム、だったかな」
「シエル、正解、んじゃ、南は?はい!レイちゃん!」
「たしか……アモン、でしたっけ?」
「そう、正解。んじゃ、東は?ほい、リヒト」
「……東はリリスだな」
「そう、そして、西はティアマトだ」
確認し終えると、フラムは本のページを一枚めくる。そして
「んじゃ、その東西南北の王、仮に四天王と名付けるか……その四天王に匹敵する力をもって、神が作り出した四英雄の名前はなんだ?」
「四英雄の名前は具体的に教わったことはないかな」
「たしかに……聞いたことないですね」
シエルとレイが頭をひねる。たしかに、敵の名前だけ俺たちはよく聞くのだが、俺たち人間サイドの、英雄の話は聞いたことがない。
「そう、四英雄の名前は、あまりメジャーじゃないんだ。まあ理由はわからないけどな」
フラムはそういうと、もう一枚ページをめくる、そして、そこに書かれていることをつらつらと読み上げる。
「四英雄は、北が光を象徴している。東が氷を象徴していて、南が闇を象徴していて、そして、西が炎を象徴しているとされていて、それぞれが現世に子孫を残し、神に託されし神器を一族代々に受け継いでいるらしい・・・そうだな、まず北の英雄が、リヒト、レイちゃん、お前たちのご先祖様、ライト・タキオンだ」
……ライト・タキオン。過去の大戦で名を残した英雄とされていて、俺たちの母親の家計を延々とたどっていくとたどり着く、俺たちのご先祖様の名前だ。俺はそのことをあまりきにしたこともないし、タキオンの名前をもっているのに弱い、だのなんだのいろいろといわれてきたので、そのご先祖様にあまりいい思いをもっていない。そして、その話からすると、神器が受け継がれている……という話だったが、もしもその話がそのまま1000年間続いているのならば、おそらく……、レイがもつあの武器が、その神器っていうやつなんだろう。だから、俺はさほど反応を示さなかったが
「あれ、でもライト様は、過去の大戦で名を馳せた英雄……」
「そう、その名を残した大戦……それが神魔戦争ってことよ」