複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【オリキャラ募集中】 ( No.110 )
日時: 2014/02/18 20:56
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: u/Zf4dZT)

第十一話 遭い会い逢い

 再び親睦の傍まで歩いてきたグライト達五人。今日もこの中を探検し、あわよくば奥までたどり着き、あるかもしれない秘宝を手に入れようと足を進める。
今日はリーブルも一緒に下へ降りるつもりだ。朝からせわしないリーブルにせかされるようにグライトは足を速めた。
その途中、ふと目にとまった甲冑姿。なんだかデジャヴを感じたグライトとミキだが、別人らしい。
甲冑姿の男は「うおー!」やら「そりゃー!」やら訳の分からない事を叫んでいた。

「あの怪しい男はなんだ?」

ソラが訝しげな顔でライムに尋ねる。

「きっとクロスさんだよ〜」

クロスと言う名前に皆首を傾げたが、ライムは親しげに名前を呼ぶ。クロスと呼ばれた男は振り返り、親しげに手を上げた。

この男、「クロス・ユニゾン」はリーフ大陸でとても有名な剣士だ。守護神であるダリダンの護衛も務めている。ダリダンの護衛を始めたのは、心底惚れているからだ。
種族はドラゴン。絶滅したと思われたドラゴンの種族だが、最近どこからか現れ、その数を増やし今に至る。
ドラゴンと言うのは力が強く、たくましい。性格は穏やかな者から荒々しい者まで幅広く、クロスはその穏やかな性格の方だった。
クロスは此処で地下へ降りようと根っこの穴を通ろうとしていたのだが、どうも甲冑が引っ掛かって通れない。そこに丁度グライト達が通りかかったと言う事だ。

ライムに連れられてその男の元へ歩いて行くグライト達。ソラはしきりに怪しんでいたが、別に悪い人ではなさそうだ。リーブルもそう思ったのか警戒していない。

「オレはクロス・ユニゾン。君達はどういう経緯で此処に?」

そう言うクロスにミキが今までの経緯を話す。
そうかそうかと言ってクロスはミキの肩を叩いた。痛そうなミキをよそに、クロスは唐突に申し出る。

「ならばオレがこの地下迷宮を案内してあげようじゃないか。丁度今行こうと思ってたんだ」

笑顔でそう言って穴へ身を投じようとしたクロス。しかしクロスの甲冑は穴の入口に引っ掛かりやはり中へ落ちれない。
また「うぬ〜」と言う声を上げてクロスはジタバタと体を動かす。その姿を見てリーブルはフンと鼻を鳴らした。
無事穴の外へ出られたクロス。眉をハの字にして穴をしげしげと眺める。

「どうもこの穴が小さくて中へ入れない。……壊してしまおうか」
「え!? これ神木って言ってましたよ? そんな事していいのですか?」
「ははは、ジョーダンジョーダン。そんな本気で受け止めないでくれ」

快活な笑い声、だがミキは苦笑いだ。どうもこの人物は苦手らしい。
そんなミキに変わってクウゴが彼の相手をすることにした。

「うまく入れてやるから乱暴なマネはするんじゃねぇぞ」
「そうか、入れてくれるか! 助かる!」

クウゴは大鎌を握った。黒い煙がふわふわと漂う。その黒い煙はクロスを包み込み、穴へ落とした。
うまく黒い霧が滑り台の代わりを果たし、無事クロスは中へ入れた。穴の中から「ありがとう」と言う大きな声が聞こえる。
それを見ていたグライトは興味津々でクウゴに尋ねた。

「ねぇクウゴ、どうやったの?」
「向こうの闇を少し利用させてもらっただけだ。まぁ空間移動とさして変わらない。一応こんなでも死神やってるからな! 闇、影、霊力そこら辺なら任せとけってわけよ」

得意気に胸を張ってそう言うクウゴ。グライトが感心している間にミキとソラは先に中へ落ちて行く。それをライムは手を振って見送った。
 再び神木へと入ったグライトはまたあの双子がいるんじゃないか、今度は仲良くなれるかなと呑気な考えを巡らせていた。