複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【オリキャラ募集中】 ( No.113 )
日時: 2014/02/19 17:37
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: u/Zf4dZT)



 双子は今日は仲よく二人で立っていた。

クロスに聞いた話だが、この双子「ルナ・ディストリア」と「エアリィ・ディストリア」はダリダンの側近らしい。蝶の精霊で美しい虹色の翼をもっているとか。言うなればクロスより階級は高い。そして見た目はそっくりな双子なのだが、性格は真逆だ。
ルナが姉でエアリィが妹。
ルナはよく頭ごなしにここを尋ねる人を悪だと決めつけるので話し合いには向いていない。エアリィの方が大人びているので門を通してもらおうと思った時は、エアリィに言った方が通れる可能性が高いのだそうだ。
他にも面白い事に、二人の違いはダリダンへの懐き方にもでるのだとか。それについて言ってしまえば、エアリィの方が懐いている。ルナはエアリィが言うならと言う事でこの仕事に就いたと言っていたみたいだ。

そんな話をして一つ目の門をくぐると、すぐさまエアリィはグライト達に気付き、ルナに伝えた。ルナはさっと警戒心をあらわに、グライト達を見るが、後から入ってきたクロスを見て少し拍子抜けをする。

「何しているの、将軍さん。あんたはこっち側でしょ?」

ルナはそう言ってクロスを睨む。そんなルナにクロスは笑顔を向けた。

「こいつらは危ない奴じゃないぞ。さっきそこで助けてもらったんだ。ルナ、エアリィ、そこを通してくれないか?」

そう言うクロスに、ルナは不機嫌にフンと鼻を鳴らした。そんなルナにエアリィは頷きながら笑顔を向ける。

「ほらやっぱり。ルナの思い過ごしだった。グライト達は悪者じゃない」
「うるさい。もう、ちょっと助けてもらったからってすぐ信用するんじゃないわよ。アンタ将軍でしょう?」
「そんな言い方しなくてもいいんじゃないかなァ……?」
「うるさいエアリィ。まぁ……通りたければ通ればいい。ただしダリダン様に害をなすものとわかった瞬間また外に放り出してやる!」

不機嫌にそう言い放ったルナ。その隣で着々と門を開けるエアリィ。

「ダリダン様に何かあったら俺だってこいつらを殺してやるさ」

物騒な発言を残してクロスは先に中へ入る。ついてこいと手を上げてグライト達を見た。
グライト達は先の発言を本気か冗談か計れなかったが、きっと本気だろうと気を引き締めた。



 門から少し歩くとそこは見違えるほど明るく、植物がまるで歌でも歌っているかのような心地になる。
暖かい日差しが射す廊下の様な所を通り、グライト達は奥へと案内された。
もう一つの門、大きな焦げ茶色の門をクロスが開けてグライト達を中へ招く。
中へ入ると陽が暖かく、花々が立派にその身を誇っている。まるで春の陽気がそこに存在するかのようだった。

「この奥にダリダン様が座っておられる。いつも通り本を読んでいるとオレは踏んだ。さぁ行くぞ。今日は何の話をしようかな……」

そう呟いたクロスに続き、少し歩くと花の中央にガーデンチェアと机があった。そこでグライトははっと息を飲む。
そこに居たのはまるで幻か何かの様な女性。美しくも儚い彼女は、春の陽気につられてうつらうつらと体を揺らしていた。
絵画を見ているようだ、この言葉が頭に浮かんだのは初めてだった。それほどダリダンとこの空間はマッチしていたということだろうか。
グライトの隣でクロスが同じような事を思ったのかつい声を漏らす。

「美しいだろう……あれがダリダン様だ」

クロスは心酔した様子でダリダンに声をかける。ほのかに染まる頬、きっと彼はダリダンの事が好きなんだろう。グライトはそう思った。

「おい行くぞライト。ミキ達がもう先に話しに行ってる。それにしてもお前はよくぼーっとしてるなァ?」
「あ、あぁそうだね……?」
「そんなんじゃ迷子になるぞ〜。早く歩けそして進め」

クウゴにせかされてグライトは足を速める。どうやら今まで肩に居たと思ったリーブルまでもグライトを置いてけぼりにしていた様子だ。グライトは少し早足に近づいて行った。