複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【オリキャラ募集中】 ( No.119 )
日時: 2014/02/22 22:50
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: u/Zf4dZT)

第十二話 魅入られる

 リーフ大陸を横断中のグライト、ミキ、ソラ。現在目指しているのはサブリア大陸だ。
「サブリア大陸」に行くにはこのリーフ大陸を横断し、南下して行かなければならない。このサブリア大陸と言うのは沢山の魔物が住み着いていて、水が少ない、いわば人間が住みにくい土地だ。

何故そんな所へ向かっているのか? それは嘘か本当かわからないが噂を聞いたからだ。噂と言うのはサブリア大陸には「グレイシア」と言う守護神がいると言う事と、そのグレイシアと「結ばれている精霊」がいると言う事だ。
守護神と言うのは世帯を持たないのだが、それは普通に興味深い、と言う事でそっちへ向かう事にした。

ついでにこの噂を教えたのはライムだ。彼女は各大陸へ行き来しているよくわからない少女だが、噂や情報は沢山持っている、それも信憑性が高い。旅人と言うのは情報が命綱になるらしく、旅人同士の情報交換が盛んだそうだ。
グライト達はそれを半信半疑ながらも確かめに行く事にした。

 リーフ大陸二つ目の大きな森を抜けて、そろそろ何か見えて来てもいいんじゃないかと言う頃、一つの小さな国を見つけた。そこへ寄って今晩は一泊しよう、ミキがそう言って手慣れた様子で門番に許可証をもらう。グライトとソラは久しぶりにベッドで寝られる事を楽しみにミキの後を続いた。



 この国は「アルモード共和国」と言うらしい。子供に大人気の例の茶色い甘いお菓子、「チョコレート」がこの国で一番有名らしい。
グライトとソラは買ってくれとミキにねだってみたが、案の定ミキはダメの一点張り。仕方なく、宿屋だけとることにする。

夜、ミキが寝静まった頃グライトの肩を叩く誰かがいる。
グライトは眠い目をこすりながらその人物を見た。

「……ソラ? 寝れないのかぁ?」

そう問いかけたグライトにソラは首を振る。そしてにやりと笑ってこそこそと何か伝えてきた。

「え!? そんなことしたら……」
「でもそと楽しそうだぜ? なんかあった時のために武器も持ってけばいい。お前はあの猫連れてけばいいだろ? 猫は夜行性だから元気に走り回ってると思うぞ」
「ミキさんにばれたら?」
「ばれないうちに戻ってきたらいい。お金はさっきミキにおこずかいもらったの持ってさ、行こう!」

ソラはそう言ってグライトを布団から引っ張りだすと、グライトに折れた木刀と弓を持たせる。ソラは愛刀を持って合図を送った。

ソラがグライトにした話と言うのは夜の街へ出かけることだ。外は賑わっていていかにも楽しそうだ。それと同時に危険も潜んでいる。
その危険と楽しさが組み合わさった夜の街はとてもワクワクする。結局グライトもいそいそと準備を始めた。

グライトはソラの後に続いて静かに扉を閉めた。

パタリ、そんな音が響く。

それをミキは聞いていた。グライトとソラが話している声が耳に入ってきて、目が覚めたようだ。

「まったく……あの二人は……まぁ、いいでしょう。色々な経験を積んでおけば後で役立つ事もありますよ……たぶん」

ミキは欠伸をしながら呟いている。グライト達が出て行く事がわかっていた、だが口を出さなかった。「まぁ好奇心旺盛な時期の事もがよく考える事だ」とあえて見逃していたのだ。

ミキは寝ころんだまま近くをうろついていた黒い猫を手招いた。黒い猫、リーブルはミキに呼ばれて近寄って行く。

「グライト君達を守ってあげて下さい。僕は寝ますので……君のような賢い黒猫さんなら僕の言葉もわかるでしょう? じゃあおやすみなさい」

ミキはそう言ってほほ笑んで布団にもぐった。
リーブルは任されたとばかりに窓から身を乗り出し、青い光と共に消えた。きっとグライト達の元へ行ったのだろう。
ミキはそれを眺めていた。そしてまたぼやく。

「導きの者……不思議な生物もいるもんですね。神様もいるんでしょうか……まぁそんなものどうでもいいけども」

そのまま寝入った。ふと気になった事はクウゴがどこに行ったのか、だが考えている間に睡魔に呑まれた。