複雑・ファジー小説
- Re: ANIMA-勇者伝-【オリキャラ募集中】 ( No.125 )
- 日時: 2014/02/28 22:09
- 名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: u/Zf4dZT)
第十三話 犬猿の仲
サブリア大陸にたどり着いたグライト達。歩き進めるたびに目に入る魔物。彼らはグライト達に気付き、威嚇したり逃げ出したりと様々だ。気性の荒い魔物が多いのか、向かってくる魔物の方が圧倒的だ。グライト達はそんな魔物の多さにそろそろ嫌気がさしていた。
何匹倒しても沸くように出てくる魔物。彼らは何故こんなにも攻撃的になってしまったのだろうか? 弱肉強食がぴったりと当てはまる、そんな大陸をただひたすらに進む。
魔物の次に多いのは砂漠だ。つい昨日やっと一つ目の砂漠を抜けだしたと言うのにまた見えてくる。まるで同じ所をグルグル歩いている感覚にとらわれる。ただ、目に入る屍達はすべて骨と肉片になっていて疲れたなんて言っている場合は無いのかもしれない。自分達がああならないよう天に願いをかけて歩いていた。
そんな中、先ほどまで仲良く話していたソラとユーノが唐突に喧嘩しだしたのだ。何があったのかと聞いても答えない。喧嘩は初めてじゃなかったが、今回は一段と激しい。
精神的に参っているこの状況での二人の喧嘩にグライトとミキは参っていた。何処か休める所はないか、それだけに集中しようとするが二人の険悪な雰囲気がそれを邪魔する。
グライトとミキはお互い顔を見合わせ、頷いた。二手に分かれてこの二人の機嫌でも治そうと言うのだろう。
さっそくグライトは黙って自分の隣を歩いているユーノに尋ねてみた。ユーノは先ほどから口数が極端に少ない。
「一体何があったの、ユーノ?」
グライトの声にユーノはムスッとしたまま答えた。
「ソラが……ソラが悪いよ!」
「え、あぁ、うん。で、一体何が原因なの、かな?」
グライトの困った表情など構いもせず、ユーノは今にも叫びだしそうな顔で、少し前を歩いているソラを睨む。
「ボクはちょっときれいな服着たら? とか、髪の毛梳いてあげようか? とか、色々仲良くしようと思って、そしたらソラが怒ったんだよ。なんでかわかんないけど……だから悪いことしたのかなって思って謝ったらソラが無視するんだもん! 頭きちゃって言い返したらまた怒って……!」
ユーノはそう言ってグライトを見た。困ったような、怒ったような表情だ。きっと仲直りをしたいのだろう。グライトはなんて声をかけようかと模索する。ヘタをすれば飛び火が飛んでくるからだ。
「でもほら、ソラってそう言う子だから……」
気にしちゃダメだよ、そう言おうとしたのだが、その言葉はユーノの言葉で奥へと引っ込む。
「あとソラの日本刀、あれ触ったらすっごい顔で睨んできたんだよ。ちょっとぐらい見せてくれてもいいじゃん、そう思わない? 別に取ろうってわけでもないのにさぁ!」
だんだん先ほどの怒りを思い出したのかまた目を尖らせるユーノ。グライトは「まぁまぁ」と抑えるが、ユーノは不満を孕んだ顔で見てくる。
「グライトは、ソラの肩持つの? ボクよりソラの方が好きなの?」
唐突にそんな事を言いだしたユーノ。グライトは対応に困った。
「いや、そう言うわけじゃないけど……」
目を反らして苦笑いをするグライトにユーノは不満な様子を隠さない。
「なにそれ! ちゃんと答えてよ! 悪いのはあっちだよね? 愛想悪いし、ガサツだし! それに変だし!」
「ソラだって別にそんなつもりじゃ……」
「ほらまた! ソラばっかりかばってる! ……もう、しらない!!」
不機嫌にそっぽを向くユーノ。グライトはお手上げというふうに少し前を歩いているミキを見た。ミキも一切口をきいてくれないソラにお手上げだったらしい。
どうしようか……そう思った時、ミキが目を見開き、驚きの声を上げる。
「あれ、見て下さい!」
ミキの指さす方を見るとたった今木が切り倒されていた。大きな音を立てて地面を揺らすその木は林の中へ沈んだ。
木だけでは無い、そこへ近づくたびに魔物の死体が多くなって行く。
一体だれがこんな事を? グライトは目を凝らして見るがその姿を捕える事は出来ない。
仕方なくそちらへ近寄って見るとそこに二人の人が倒れていた。片方は色白で華奢な黒髪の侍の格好を模したような少年。もう片方は筋肉質で二メートルはあるだろう大きな犬歯を蓄えた鎧の男。
一体何があったのか、とにかくグライトとミキは迅速にその場を収めるべく、彼らの体についた傷を落とす。
そして後ろで唖然と突っ立っているユーノとソラにグライトは指示を出す。
「ソラとユーノも手伝って。水、あっちの方で泉があったよね? そこで汲んで来て! 俺達が此処片付けとくから」
「道は魔物がうようよしているので気をつけて下さい」
指示されたユーノとソラはギクシャクしながらも、その場を後にすることにした。