複雑・ファジー小説
- Re: ANIMA-勇者伝-【オリキャラ募集中】 ( No.147 )
- 日時: 2014/03/08 22:32
- 名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: u/Zf4dZT)
第十五話 噂の真相
ライガンに連れられてグライト達はこのサブリア大陸に一つだけ存在する大きな国に連れてこられた。この国の名は「アルバン帝国」と言うらしい。
アルバンは水が少なく、魔物が多いこの大陸で力強く生きている国だ。此処の民もほとんどが武術や戦闘術を持ち合わせている。もしもに備えてと言う態勢だ。
ライガンはこの国の王に仕えている戦士らしく、顔パスでこの国に入って行く。
グライト達はそのまま王宮へ案内された。
「さぁついたぞ! ここがアルバンの王が存在している王宮だ。お前達の探している人も見つかるであろう! 俺は王にお前たちを紹介してからまた外へと行くが、それでも構わんか?」
「はい、大丈夫です。僕が後を引き継ぎます」
「なら任せた!!」
ライガンはそう言ってどんどん奥へと歩いて行く。
王宮は広く、様々な部屋があった。勝手に動き回ろうとするグライトの頸をライガンは掴み、王の前へと放り出した。
「お久しぶりです国王アブリア様! 連絡もなしに客人を連れてきて申し訳ない、だがこ奴らは悪い奴では無いと判断したまでです! よければこ奴らの質問に答えてやって下さい」
アブリアと呼ばれた顔に傷のある筋肉質な男は顎の短い髭を撫でながらライガンを下がらせる。
ライガンはそのまま王宮を出て行った。残されたグライト達は少し緊張をする。それはアブリアと言う男から発せられるプレッシャーからだろうか? ここまで案内し、紹介してくれたライガンの評価を下げないようにとグライト達は再び気を引き締めた。
ライガンいわく、このアブリアと言う男がアルバン帝国を指揮している国王だ。
その風貌から力で支配するような雰囲気をうかがわせるが、そうではなく立派な国王をしている。
何度か他国が侵略してきたときも策略家達と共に作戦を練り、追い返したらしい。
国民からの信頼も厚く、それはそれは立派な国王だと言う紹介だった。
アブリアは玉座からグライト達を値踏みするよう眺め、頷いた。
「よく来てくれた。旅人かな?」
その言葉にミキが返事をする。その後ろでグライトも頷いていた。ソラとユーノは、王宮は初めてらしく、その顔に緊張が現れている。
そんな四人を眺めつつ、アブリアは続けた。
「私に質問らしいが、なんだ? 答えられる範囲なら答えてやろう」
そう言ってアブリアはグライト達の言葉を待つ。
彼の堂々とした態度に、後を受け継ぐと言ったミキは一瞬反応が遅れたが、慌てて口を開いた。
「あの、ここら辺で守護神グレイシアが存在していると聞いたのですが、それは本当ですか? 是非合わせていただきたいのです」
「あぁ、本当だ。グレイシアはこの国にはいないが、この国から少し外れた砂漠の真ん中に居ると伺っている。彼女に何用だ?」
「はい。僕は今歴史を調べていますそれについて少し質問があるのです。そしてこのグライトと言う彼は秘宝を探し求めて旅をしているのです」
ミキはグライトをしっかりと立たせる。グライトはアブリアにまっすぐ見据えられ、少し怯んでいた。
そんなグライトの力を抜くためミキは背中を少し叩く。グライトはビクリと肩を鳴らしてミキを見たが、力は抜けたらしい。すぐアブリアに向き直り、しっかり返事をした。
「少年……グライトと言ったな? なかなか見どころのある男だ。よろしい、場所を教えてやろう。グレイシアはこの国からもう少し南の方へ行った所にある砂丘に居る。だが、その中の彼女の居場所、その洞窟の入り口は私でもわからない。どうしても入りたいのなら自分で探してみるがいいだろう。もう一つ、いい事を教えてやろう。そのグレイシアと親密な関係にある男が一人いる。この国に居るだろう。名前はエース・ブルーネル。腕の立つ銃士だ。そいつに聞いてみるがいいだろう。きっと力になってくれる」
アブリアはそう言って口角だけあげる笑みを浮かべる。何となく信用してしまいそうな、そんな雰囲気が彼にあった。
グライトはお礼を言って頭を深々と下げる。
「質問はそれだけかな?」
「はい、ありがとうございました。忙しい中お時間頂き、誠に感謝感激です」
「ハハ、そんな堅くならなくともいい。ミキとやら、勉学に励め。若いうちに色々見ておく事はいい経験にもなる。健闘を祈る」
「はい!」
ミキは元気よく返事をしてグライト達を引っ張りながら王宮を後にした。
ソラとユーノはやっと緊張が溶けたらしく、王宮を出た時にはいつも通りに戻っていた。
◆
王宮を出ると、街が広がっている。
果物や肉を中心とした市場、娯楽街もあった。全体的に活気にあふれている。
グライト達は少しこの国を観光しつつ、アブリアから紹介のあった「エース・ブルーネル」と言う銃士を探すことにした。
探しているうちに色々な情報が入ってくるものだ。
「エース・ブルーネル」と言う男がグライト達の聞いたグレイシアと結ばれていると噂されている精霊だと言う事もわかった。
一層興味を抱くグライト達。暑さに負けない活力を得たようだった。
市場を歩いているとユーノがグライトの服の袖を引っ張る。
「ねぇグライト。ボクさぁ服がほしいんだけど……グライト、選んでくれない?」
「え? 俺が選んで良いの?」
「うん! グライトが選んだ服が着たいな」
「じゃあ見に行こうか」
そう言って笑顔を向けるグライトに、ユーノは満足気だ。
グライトはミキとソラに服屋へ行ってくると告げ、ユーノと共に歩きだした。
「気をつけて下さいね。娯楽街の方はあまり治安が良くないみたいなので」
手を振るミキを振り返り、ユーノは元気よく告げる。
「だいじょーぶ! そん時はボクがグライトを守るから!」
「えぇ!? 逆じゃない? それに俺も自分で戦えるよ!」
「リーブルがいないとダメなんだよね〜」
そんな会話をしながらグライトとユーノは服屋の方へ走って行った。
「ソラさんはいいんですか?」
「俺は服に興味ない。食べ物かおーぜ。後腹減った」
「そうですか、なら買い物を続けましょう。ついでに何処かで立ち食いしましょうか」
ミキはそうして再び野菜を眺めた。
ソラはその隣でお腹すいたと言いながらぼーっと野菜を眺める。
次の店に行く途中、冷やし中華の店があったのでそこへ足を踏み入れた。たらふく食べてからまた外へ出る。
このサブリア大陸と言うのはどうも熱い。店から出ると熱気が再び二人の汗を流し始めた。