複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【オリキャラ募集中】 ( No.178 )
日時: 2014/03/25 19:13
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: bVlGyEWK)



 朝、顔を洗っているとふとしたものが目に入る。そのふとしたものは、大概おかしなものなのだ。

グライトとソラは二人で朝食を作っていた。まだユーノは起きていない。
鍋から顔を上げたグライトは近くにあった木がおかしい事に気付く。最初、なにがおかしいのかわからなかった。だがよく見ると、それは確かな違和感として脳裏に焼きつく。

「ねぇソラ……あの木、浮いてない?」
「は? 木が浮くわけないだろグライト。寝惚けてるんならもっと顔洗っとけ」
「でも……」

グライトは目の前の木を指差す。確かに根元だけが見えない。ソラは首を傾げた。まぁなんの害も無いのだからそう言う木と言う事で置いておこうと思ったらしい。

そんな二人の元にバタバタと慌てて駆け寄ってきたのはまだ寝まきのユーノだ。
ユーノは起きた時、テントで身支度を済ませ、髪の毛もいつも綺麗に真っ直ぐしているのだが、今日は寝起きのままだ。顔を洗っていたのか水が滴っている。
ユーノは取り乱したような様子でグライトにしがみついて、肩は少し震えていた。
グライトは「どうしたの?」と聞いてユーノを見た。

「ちょ、二人とも! 泉の上に火が……!! 何あれ!?」

ユーノの指さす方には確かにうっすらだが、ユラユラと揺れる火の玉がある。
グライトとソラは顔を見合わせて驚く。

一体今、この林では何が起こっているのだろうか?

とりあえずさっさとテントをしまい、身支度を済ませて早歩きにこの林を出ることにした。

どうも嫌な予感がするのだ。


 半日ぐらいたった。まだ出れそうにない林をひたすら歩いていると、グライトが「あ」と声を上げる。
今度は何だと思いユーノとソラは振り返った。

「そう言えば昨日、変な人に会ったよ。ニル……なんだっけな。とにかく早くここから出て行けとか言ってたけど、この怪奇現象と関係あるのかなァ?」

そう言ったグライトにユーノとソラはぐっと近づく。あまりの近さにグライトは思わず一歩後退した。

「なんでもっと早く言わない! そいつ、まだここら辺に居ると思うか?」
「その人が起こした現象とかだったらボク、許さない! 朝からびっくりさせて!」

二人は一斉に辺りを見渡し始めた。グライトは二人の様子に苦笑いで平謝りをした。
再び歩き出そうと三人は進む。ソラとユーノはその間もキョロキョロと目当ての人物を探していた。グライトはと言うと、ゆっくり散歩でもするようなスピードで歩いている。ソラはそんなグライトの背中を叩く。

「……さっさと探せグライト。そいつにどうやってこの林出るか聞くぞ」
「え? もうすぐ出れそうな気がするけど?」
「は? お前……さっきから同じ所グルグル回ってるの気付かなかったのか?」
「えぇ!? 嘘だ! 全然わからなかった……」
「……方向音痴か……もしくはバカか……とりあえず出れそうにないんだよ、今は」

あきれ顔でソラはグライトを見る。呆れを通り越して少し憐れみを向けていたのは、きっと気のせいでは無い。ユーノもそれに気付いたのか、グライトをフォローしようと慌てる。

「で、でもほら、道が入り組んでるし……ね? 早くそのニルなんたらさんを探し出してここでようよ!」
「……今それをしているところだ」
「そ、うだったね……ハハハ」

ソラとユーノはその後、黙々と辺りを見渡し始めた。グライトは上下逆転している木や、四角く見える太陽を見て面白がっている。ソラはそんなグライトの様子にため息しか出なかった。