複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【オリキャラ募集〆切】 ( No.201 )
日時: 2014/04/08 22:19
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: uQH0nqZ2)



二人は剣と剣を交える。鉄が擦れ合う鈍い音が洞窟に響いた。
すさまじい攻防、力や技術は互角。影はグライトのコピーらしく、グライトの戦法を使ってうまく攻撃と防御を交互に入れてくる。グライトは自分の戦い方が全て読まれるのでどちらかと言うと不利な状況だ。
そして洞窟は真っ暗。真っ黒な洞窟で勝手も知らないグライトは足場さえも不安だった。この洞窟を住処としている影の方は、慣れた様子で舞うようにグライトの攻撃を避ける。
また鈍い音が響いた。力比べで決着をつけようと言うのだろうか? グライトと影は睨みあったまま力を緩めない。
そんな状況下におかれながらも影は笑っている。対象にグライトは真剣そのものの顔をしていた。

「もっと肩の力を抜かないと……ほら、手に力を集中させて……私に負けてもいいの?」

影は赤い剣を横に振り払う。グライトは態勢を崩した。

「隙は見せたら……殺されるよ」

影は赤い剣を振り下ろした。剣はグライトの足を切りつけた。続けざまに頬を切りつける。腕、手、脛、次々と切りつけられる。

「くそっ!!」

グライトはまた振りあげられた影の剣を避け、影の横脇を切りつける。影はグライトの反撃を受けてもなお笑っていた。まるでダメージなんて受けていないかのような佇まいにグライトは舌打ちしたくなる。
やけくそ気味に腕を振り回してみる。そこでグライトは気付く、影はグライトの攻撃をかわす事はしないと。

「どうしてかわさないの?」

苛立ち紛れにそう質問すると影は手を広げて答えた。

「貴方の攻撃なんて私にとってはかすり傷……かわす必要性を感じない」

グライトはその答えにさらに不機嫌になった。
影はそんなグライトを見て楽しんでいるような雰囲気を醸している。
グライトは影が攻撃を避けないとわかったとたん、全力で影へと突っ込んで行くようになった。フルパワーとまではいかないが、普段よりは強気の攻撃だ。
影はそれでも避けない。どんどん影の体はグライトの青い剣に削られて行く。だからと言って攻撃の手を止めるわけではない。影の攻撃一つ一つ冷静で重い。グライトも確実に傷が増えている。
しばらくそんな事を続けていると二人ともだんだん考えると言う事をしなくなっていった。ただひたすら自分の力を試す。そして相手の力を感じ、受け止める。

二人は倒れるまで戦った。今までにない疲労を感じ、傷の多さに痛さはマヒして行く。

「そろそろ決着をつけようか、俺はもう疲れてきた」

グライトはそう言って影を見やる。影はグライトを見て笑っている。グライトは力強い一歩を踏み出した。大きく振り被り、威圧するように影を睨みつけ、青い剣をふるう。影も負けじと紅い剣を振った。

嫌な音が響く。耳が痛い、そう思ったが二人は力を緩めない。

そして大きな爆発音と地面が裂ける音に洞窟は包まれた。
黒い洞窟は今や青い光と赤い光が交差し、まるで龍の様にとぐろを巻く。

音が止むと二つの影は同時に倒れた。そのまま意識を手放し、目を開けた時——そこは質素な宿屋のベッドの上だった。