複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【更新】 ( No.246 )
日時: 2014/05/14 20:19
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: CzWb5kfF)



 村の方へ帰るとぽつぽつとあった家に光がともっている。なんとも美しい光景だとグライトは懐かしい思いでいっぱいになる。グライトのいた村も穏やかで美しい光景があった。今は黒雲が空を暗くし、村全体を覆ってしまったが。

アルネイルは自分の家へ入るなり、そそくさと食べ物をかき集める。レイラに持っていくためだろう。

「あ、僕だけで行ってくるから、グライト君達は家で居てくれてもいいよ?」
「うーん、まぁ全員でいくのは動きにくいもんなァ……」

アルネイルの言葉にリュウは同意を示す。グライト達も気持ちは一緒だ。わざわざ皆で訪れ、レイラに気を使わせるのも悪い。
かといってこの暗い道、魔物がいないという保証は何もない。

「どうしよっか……」

そう呟いていると「じゃあ」とソラが名乗りを上げた。

「俺がアルネイルについて行く。グライト達は、どうせ晩飯も世話になるんだから少し手伝っとけ」

ソラの言葉に頷くグライトとユーノ、リュウ。

「じゃあ決まりだな! いってこい、ソラ、アルネイル!」

元気よく送り出すリュウを背に、アルネイルとソラは森の奥へと向かう。
外は静かで少し冷たい潮風が漂っていた。
室内へ戻ったグライト達はさっそく言われた通り料理をしだす。少ししてから海賊船の方へ帰っていたレイが家を訪れた。手には沢山食べ物や酒を持っていた。レイも交えてグライトとリュウはユーノに指示されるがままに包丁を使っている。
広い家にいい匂いが広がるのはそれからすぐの事だった。