複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【7/20更新】 ( No.283 )
日時: 2014/07/22 22:13
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: no72hslI)

第三十話 探し人、見つかる

エターナル王国へは案外あっさりと入れた。少し身構えていたグライト達は思わず「えっ」と声が出る。
門番に首を傾げられながらも中へと入ったグライト達は辺りを見渡した。
色とりどりの煉瓦、穏やかな人々の顔。なんだか想像と違う。セレリーが危険と言っていたので、てっきり入るのも難しいかと思っていたからだ。

入国審査を終え、とりあえず町の中をシリウスに案内してもらう。
簡単な説明だったので半日で一部は周り終えた。広い町だなァ、グライトはそう感心しているとシリウスは大きな広場まで来て振り返る。

「大体案内したけどわかったか?」
「うん、まぁ大体」
「じゃあ俺やらなきゃならないことあるから、ここでお別れだ」
「え? そうなの?」
「うん? まだ何か知りたい事でもあるのか?」
「いや、別に特にこれと言ってないけど……」

じゃあとシリウスは手を上げる。

「また会おうぜ」

去り際にそう言い残し、シリウスは人々の渦へと消えて行った。取り残されたグライトとユーノ、リュウは唖然と再び町を見渡す。
シリウスがいなくなった事に寄り、少し不安を感じたからだ。
とりあえず三人は顔を見合わせ、これからどうするか話し合おうと思った。

「なんかよくわかんねぇ奴だったなァ」
「いい人だったね。また会えるかな? 今度は手の事聞こうかな」
「あえるんじゃない? だってまた会おうって言ってたもん。それより宿でも適当に取ってさ、ミキさんとクウゴさん探すんだよね?」
「そうだね」

まだまだよくわからない町だが、二人を探そうとなると行動は早い。安い宿を取り、荷物を最低限にした後三人は町へと再び出た。
シリウスに案内されて大体わかっていたが、奥の方、中心にある城の周りはまだ行った事が無い。とりあえずそこへと向かうため足を動かした。



 城の周辺はとてもにぎわっていた。と言っても簡易な出店が立ち並ぶ場所だ。他とさして変わらない。
立ち食いを挟みつつグライト達は辺りを見渡す。レストランが多い。
レストランの窓から中を横目に窺いつつ、目的のミキとクウゴがいないか目を光らせる。
そんな事をして数時間、陽が沈みかけている時のことだった。グライトは「あっ」と声を上げ、二人を見る。

「いた!!」

興奮気味に後ろの二人に告げると、二人は「えっ」と声をそろえる。

「ミキさんとクウゴだ!! いた! いた! 早くいこ!」

グライトは興奮のまま駆けだした。人が邪魔してなかなか近付けない事に、柄にも無くイライラしながら足を速めた。
やっと近づけた! そう思い、走り寄る。

「ミキさん! クウゴ! 久しぶり!!」

二人の服を引っ張ると二人は驚いたように振り返り、グライトがいることにさらに目を丸くした。

「グライト君!?」
「グライト?」

喜びが混じったような声にグライトは自然と笑みが浮かぶ。
そんなグライトに後ろから息を切らしてついてきたリュウとユーノは二人を凝視する。
リュウが少し息を整え、グライトに尋ねた。

「この人がミキさんとクウゴさん?」
「そうだよ!」
「へぇ、なんかイメージしてた感じとちょっと違う」

素直な感想を言ってリュウはミキとクウゴに頭を下げた。二人はリュウにつられるよう頭を下げる。
ユーノはミキを見て嬉しそうにほほ笑んだ後、久しぶりと声をかけた。

「それにしてもこんな所までよくこられましたね? 怪我とかはないですか?」

そう言うミキにグライト達はケラケラと笑う。

「お母さんみたいだな、ミキさんって」

リュウがそう言うとミキは「そうかな」と首を捻った。
グライトは次にクウゴを見る。特に目立った怪我とかも無く、どことなく面倒そうな雰囲気も変わらない。グライトの視線に気づいてクウゴは首を傾げた。

「元気だった? どこに居たの? なにしてたの? ミキさんと何処で?」
「いきなり質問攻めだな。まあ落ちつけグライト、それも含めてちょっと早い晩飯でも食いに行こうぜ。そこで質問に答えるから」

クウゴの誘いに腹が減っていたグライト達は賛成した。歩きまわってクタクタだと言いながらも口は止まらない。
ミキとクウゴは三人の話を聞きながら、久々に会えたと言う歓喜を肌に味わっていた。