複雑・ファジー小説
- Re: ANIMA-勇者伝-【7/20更新】 ( No.287 )
- 日時: 2014/07/22 23:36
- 名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: no72hslI)
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気取らないレストランに入った五人は、世間話とゴンドラ大陸について話し合っていた。クウゴもミキもしばらくこの大陸に居て、戦争なども見てきたから大体の把握はしていたが、グライト達にとってはわからない事が多く、説明も兼ねて話しを続ける。
どうやら争っているのはドラファー帝国とパルメキア王国だけじゃないらしい。最近になって「バラネアス魔神国」という国も少しだけ参戦しているらしい。
バラネアス魔神国と言うのは「幻魔族」と言うまだ謎の多い種族が率いる軍事大国。その国は「ディラン・ベルザラス」と言う国王がおさめていると言われている。
ドラファー帝国とパルメキア王国に目をつけて、あわよくば二つとも支配してやろうと言う腹の内だと言う噂が流れているのが今の状況だ。
その他にも小さな国々が大きな国を狙って同盟を組みだしている。
非常によくない連鎖だとクウゴは話を終わらした。
一連を聞き終えたグライト達は首をひねるばかりだ。何かできることは無いか、そう思い二人を見るが、今のところいい方法は無いらしい。
「俺達が入って行っていい事なのかなァ? 違う大陸の人がどうにかしようたって状況把握にも限界がある」
「そうだグライト。でもな、戦争はきっと自分達の大陸まで進行してくる。火花はもう散らされているからな」
「どう言う事?」
「言ってたろ、サクヤが……桜花和国の女王が戦争に参加していると」
「それとどう関係が?」
「俺はサクヤに聞いたんだ。本当の所、戦争にどう関わって行くのかって。サクヤは言った。巻き込まれる、どうせなら間を見計らってこちらから仕掛けるつもりだって言ってた」
「えぇ!?」
驚いて手に持っていたフォークを取り落としそうになるグライト。話しについて行けず、首を傾げるリュウとユーノ。
そんな二人を見かねてミキは桜花和国での事を簡単に話した。
「グライト君が初めて外に出て初めてたどり着いた国が桜花和国って言う国なんですよ。綺麗な桜が万年咲き続けていて、その国の女王様がサクヤさんって言う綺麗な人なんです。桜花和国は戦闘民族である華狼しかいない国でして、戦争などに参加してお金を稼いでいるようです」
「備兵みたいなものです」そう追加して笑うミキ。リュウとユーノは納得した。
グライトはミキが話し終えるのを待ってから一呼吸置いて続けた。
「話は戻すぞ、で、そのサクヤが戦争に参加したらきっとグライトとミキが住んでるモート大陸はおろか、他の大陸まで巻き込まれて大混乱ってわけだ。なにせ、モートとゴンドラは場所的にも遠いからな。どうしても間に挟まっている国は巻き込まれるってわけだ」
クウゴはそう言ってピザの一切れを口に放り込んだ。
ユーノは自分の記憶はないが、少し胸の内がざわつき、眉根を下げた。
「戦争はよくないよ……どうにかして止める方法は無いかなァ?」
「もちろんだユーノ。俺達はその方法を探してあっちこっちうろうろしてるってわけだ。まぁ今のところ上には駆けあった事が無いから影響力にかけてるんだが……そもそもあまり目立った行動は慎みたいんだよ」
「どうして? クウゴさんは後ろ暗い事でもあるの?」
「後ろ暗いって事は無いけど……まぁなんだ、俺もちょっと戦争に参加して無差別に兵士を調達してしまったからなぁ。それをダシに邪魔されるのもなんか癪だろ。獄の中なんて簡単に抜けられるんだけど、俺の仕事もあるし」
「仕事?」
「あれ、グライト言って無いのか? 俺死神。仕事人の悪意を狩る事だ。ここには沢山悪意があふれかえってる。だからここに当てられてから仕事が多くなってて休んでいる暇も惜しいぐらいだ」
今こうしている時間も本当は仕事しなきゃいけないと続けたクウゴは、それでもマイペースに食事を済ませる。正直言って面倒くさいと言うのが本音だろう。
そこでユーノは妙案を思いついたとばかりに顔を輝かせる。
「じゃあボク達が行ってきてあげようか?」
驚くクウゴとミキを横目に、「ね」とグライトとリュウを見るユーノ。
それもそうだとグライトとリュウは賛成した。
「でも子供の君たちじゃ危ないですよ。王様や王女様がどんな人物かわからないんですよ? もし危ない奴だったら君達は死刑にされるかもしれない」
危険を促すミキだが、ユーノ達はやると言ったらやると引かなかった。
「まったく……」と肩を落とすミキだが、なんだか楽しそうだ。しかたないなぁと言った雰囲気でクウゴを見るミキ。クウゴも頷いた。
「……危険そうだったらすぐ逃げて下さい。僕とクウゴも助けます。やるなら、徹底的にですよ」
そう言ったミキに元気よく三人は返事した。
翌日決行するという事で話しは締めくくる。その後はゆっくり食事をして、解散した。
夜でも賑わう町を抜けて宿へと戻る三人は、明日の計画を話しながら楽しく宿へと向かった。