複雑・ファジー小説
- Re: ANIMA-勇者伝-【8/3更新】 ( No.309 )
- 日時: 2014/08/04 23:13
- 名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: o.w9FXPe)
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パルメキア王国では大きな計画が動こうとしていた。
計画を立てたのはパルメキア王国切っての策略家、軍での地位は「軍師」である「セレン・ルシェレル」と言う女性だった。
現在セレンは軍の一室でゴンドラ大陸の地図を睨みつけていた。
「軍師! どうやら作戦は成功したようで、最近見つけた裏列車の線路と列車本体を爆破しました!」
「うむ、よくやった」
短く答えて下がらせるセレン。次なる計画は、地下の埋め立てだった。
この地下を攻撃した理由、それは最近この地下の道を利用しパルメキア領へ入ってくるドラファー帝国の軍隊に一夜報いるためだった。
ある日突然戦争を始めたドラファー帝国。矛先はパルメキア王国だった。何故パルメキア王国を攻撃し始めたのかは分からない。第一ドラファー帝国からパルメキア王国まではかなり離れている。列車ならともかく、徒歩でとなると何日かかるかわかったものじゃなかった。
セレンはその理由のわからない戦争に嫌気がさし、このパルメキア王国へ寝返ったのだ。
自国を裏切った事に後ろめたさを感じないわけじゃ無い。理由もしっかりある。
パルメキア王国に入ったのは、パルメキア王国が戦争にあまり好意的では無かったからだ。元々ドラファーと戦争なんてやる気の無かったパルメキア王国が、過激化したのは最近の事だった。丁度先代の王が死去した頃からだろうか? だが一兵士であるセレンに戦争の理由はしらせられない。
だんだんドラファー帝国と同じような状況になってきたパルメキア王国に、嫌気を覚えたのだけが事実だ。
それなのに真面目に策略に取り組んでいる自分を見て、滑稽に思えたセレンはいつの間にか苦笑を浮かべた。突然表情を変えたセレンに、前に立って指示を待っていた兵士は不思議そうに首を傾げるばかりだ。
さて仕事をするか、そう思い出したセレンは兵士に指示を出す。
「少々手荒なまねでも構わない。パルメキア王国領に入ると思われる地下線路を徹底的に埋めろ。列車の客が襲ってきたら撃ち殺してかまわない。さっさと行け!」
「はい!」
ピシッと敬礼をした兵士はそう言いながら走って行った。
「さぁて次の作戦は……」
何となくそう呟き、頭の中で生まれた新しいアイディアと、徹夜して考えた抜け目のない作戦を組み合わせてみる。
うまくいきそうだったらノートに書いておこう。そう思い、引き出しから適当な紙を取り出し、羽ペンを持ったセレンは、少し後に来る客に気付くまで後数時間の事だった。