複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【8/9更新】 ( No.317 )
日時: 2014/08/10 21:02
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: n5JLvXgp)



 外では何が起きている? セレンがそう考えて何分たっただろうか。
自分の立てた作戦が完全に阻止された。あの地下を埋めるための作戦は極秘で進められているはずなのに、どうなっている? セレンは机に向かって舌打ちする。入ってきた兵士は不機嫌なセレンに、姿勢を自然と正した。

「現地へ向かった兵士は何人いた?」
「ざっと確認して15人〜17人はいたと思われます」
「生き残った者は?」
「……0人です」
「どうやって……ドラファーの奴らがやったのか?」
「まだ確認の連絡が来ていません。しかし、17人を葬れるだけの人数が、ドラファーの方から送られたと言う話しは入ってこなかったのですが……」

そう言って首を傾げる兵士に、セレンはまた舌打ちする。

「確かな情報か?」
「はい。スパイに行かせている男達からはそう言った情報は入ってきませんでした。近くで大軍を見たという目撃者もいませんでした」

なら少人数で軍人をやったと言うのだろうか? 現役の軍人を? あちらにはそれだけの戦力があると言う事なのだろうか? セレンは唸った。
そこへ扉を開けて一人の兵士が現れた。落ち着いた様子で敬礼をした後、現状について報告を始める。
セレンはそれを黙って聞いていた。時折苦く顔を歪められている。

「——……というわけで魔人共の足跡は確認されていません。いずれも死者は大きな刃物で斬られたような跡がありました。調べてみましたが、全てが同じ刃物で斬ったものだと思われます」
「と言う事は1人が17人全員を葬ったと言う事になるのか?」
「はい。詳しい鑑定をしてみた所、力の強弱の付け方も同じ、利き手も同じでした」
「……わかった。とりあえずあの穴は埋める。人数を多めに連れて出動しろ。警戒は怠るなよ。気になる影や怪しい人物がいたら生け捕りだ。攻撃してきた奴らは殺してかまわない」

わかったら行け、そう言ってセレンは兵士を送りだした。
始めから部屋にいた兵士はどうするのかと尋ねてくる。

「こっちにも計画がある。心配しなくてもいい。わかったらお前も下がれ」
「はい」

セレンは兵士の不安げな背中を見送りつつ、さてどうしたものかと策を巡らす。
姿もわからない、実力もわからない人物。どんな人物か気になる所だが、自軍の血はあまり流したくはない。
セレンはそう思いながら何か思いついたように無線機に手を伸ばした。

「気になるのなら罠にはめて誘導すればいい。私の軍に刃向かってきたという事は戦争に関わっている可能性も高い……良い情報を持っているかも知れない。最終目的地は、この部屋だ」

セレンはにやりと笑った。久しぶりに力を入れられるような出来事が起こった。楽しくて仕方がない、そんな様子で応答を待つ。

「……面白い」

フフっと不敵に笑って適当な紙を引っ張りだす。それと同時に無線機が耳障りな音を立てて繋がった。
セレンは作戦を説明し始めた。