複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【10/5更新】 ( No.370 )
日時: 2014/10/05 18:28
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: m7RL/.Cf)

第四十四話 ダンジョン探索

 ソリア大陸へ入ったグライト達は船を降りて洞窟の前に立つ。どうやら、ソリア大陸と言うのは全てが洞窟になっているらしい。高く聳え立つそれはピラミッドの如し。
中へ入れば出てこられるかもわからない。地図なんてものも当然ない。グライト達は船の皆からもらった食べ物を背負い、万全の準備をして中へ入った。
案外暗くなくて、まだ入り口付近は人の手が加えられている。灯篭の通りに進むとそこに見覚えのある人が立っていた。
あの人は、そう思ったグライトは声をかける。

「スターさん、隼人君だよね?」

声をかけられた二人は(隼人はビクリと肩を鳴らしていたが)ゆっくり振り返る。

「やあまた会ったね、えっと……グライト君だったかな? 後ろの二人も覚えているぞ、ユーノ、リュウだったな? ん? 一人人数が足りないようだが?」

スターはそう言ってキョロキョロとあたりを見渡す。

「ソラは途中で別れたんだ」
「あぁそうか。で、きみたちは何をしにここへ? まさか、また私達の芸術を奪うつもりか?」

スターはさっと顔を険しくしてグライトを睨む。グライトはその睨みに負けない様スターの目をみる。

「貴方達の目的は?」
「質問を質問で返すのは無礼だよ。でも応えてあげよう、当然、秘宝だ」

一体どこからその情報を手に入れたのか、スターは何でも無く言い放った。面倒な事になりそうだ、リュウがそう感じたのもつかの間、スターはグライト達の目的を推測したのか、また「勝負をしよう」と言いだした。
やっぱり、リュウはため息を吐きだした。

「俺達はそんな暇は無いんだ。とっとと秘宝を諦めて帰れ。お前は秘宝がどんなものかしっているのか?」

リュウは険悪にそう言うと、さっさとグライト達を引っ張り歩きだそうとする。スターはそんな姿を見て楽しそうな笑顔をつくる。

「勝負は簡単、先に女神の待つ洞窟にたどり着いた方が勝ち。先にたどり着いた方が秘宝を手に入れられるんだ。私達は負けたらちゃんと秘宝から身を引くつもりだ。のるだろう?」

まるでそれが当然だとでも言いたげなスター。戦わなくて済むというし、たどり着けば諦めると言うのだから面倒につき纏われるより楽かもしれない、そう考えたグライトは振り返り、頷く。

「決まりだ。では行こうか、軽井沢くん」
「は……はい! 師匠。ついて行きます」

二人はそう言ってグライト達に軽く挨拶を告げ、別の方向へ歩いて行った。

「面倒なもんに関わるんじゃねえよ」
「でも向こうで戦って時間を食うよりましだよ。急ごう」

不満顔なリュウを置いてグライトはさっさと歩きだす。リュウは考え、それもそうかもしれないと納得しグライトに続いた。いつたどり着けるかもわからない、もしかしたら此処で飢え死にでもしてしまうかもしれない、だが、諦められない。
グライトは力強く歩く。そこで、見知った黒猫と出会う。それはリーブルだった。
なんでリーブルが? そう感じたグライトは黒猫に駆け寄り、抱き上げる。

「なんでいるの?」
「にゃあ」

リーブルはいつものようにつんと顔を反らす。そのままグライトの腕を飛び降りて、一つの洞窟の前に座った。

「にゃあ」

グライト達を振り返り誘導するように歩き出す。ユーノはそんなリーブルを見て「ついてこいって事じゃないの?」とグライトの腕をつついた。

「そうみたいだね。まぁ着いてって見よう。どうせ、道わからないし」

グライトは少し戸惑いながらもリーブルの後を追った。ユーノ、リュウと続いて入って行く。なんだか薄暗い道だ。ここから松明も灯篭も無いらしい。と言う事は、電気が必要だ。

「ちょうどいいや、ライト、持ってきたからそれつかうか?」

リュウはそう言って背負っている鞄から取り出し、スイッチを入れた。広い洞窟ではままならない電気の量だが、今はこれに頼るしかない。こんな時、リーブルみたいに夜目を使えたらとグライトは羨ましく思う。